
学習者さんから「助詞」がわからない〜!ってよく言われます。でも、どうやって教えたらいいかがわかりません。何かいい教え方がありますか?

「助詞」って日本語の大きな壁ですよね……それでは今回は、「助詞」の教え方について取り上げてみたいと思います!
こんにちは。日本語教師のさじここです。
みなさんは「助詞」について学生からよく聞かれますか?
私が日本語教師になったばかりのとき、学生から
「先生、助詞がわからないんですけど、どうしたらいいですか?😭」
「『は』と『が』は何が違うんですか?😭」
「いつも助詞を間違えてテストで点が悪くなるのはどうしたらいいですか?😭」
という質問を受けすぎて、逃げたくなりました(笑)
そんな読者の方もいらっしゃるかもしれませんので、今回は私の「助詞」の教え方についてシェアしていきたいと思います。
- 助詞を教えるときのポイント
- 助詞の教え方の参考になるおすすめ本
- さじここの助詞のまとめスライド
- 「記号接地」について
教え方にはいろんな方法があるかと思います。
もし、私のシェアする内容が「自分でもやれそう!」と思うならぜひ取り入れて実践してほしいと思います!😁
助詞の教え方に入る前に……

私がこのブログを始めてまもない頃に、助詞の「は」と「が」の使い分けについて書いた記事があります。
みんなが知りたい「は」と「が」の使い分けについて、上記の記事で取り上げているので、「は」と「が」について知りたい方は上記の記事をまず読んでみてくださいね😃
助詞の教え方は語彙の教え方↓と連動しています。
なので、語彙の教え方のポイントと今から説明することはほとんど変わりません。
「目新しいことないじゃん!」ってなる場合は、読者の方がよく学ばれているということになりますよ😀
それに加えて、日本語教育本ではないのですが、ぜひみなさんに読んでもらいたい本↓があります。
⭐️「学力喪失──認知科学による回復への道筋」今井むつみ(著)
今井先生は認知科学、言語心理学、発達心理学がご専門の先生です。
有名な方なのでご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。
今の学校教育の現場で何が起きているのか、そして「学力」とはそもそもなんなのか?を認知科学の視点から解説している本です。
タイトルが「学力喪失」なので、「日本語教育と全然関係ないじゃないか!」と思われるかもしれません(笑)😅
私もそうでしたが、日本語教師の中には小学校や中学校で日本語支援員をされている方もいらっしゃると思いますし、そもそも我々も「教師」なので、知っておいたほうがいいことがいっぱい書かれていますよ✨
そして、読み進めると日本語教師である私たちが「日本語が母語ではない人たちに日本語を教えているプロセス」と繋がっていくかと思います。
日本語教育のなかでも「メタ認知」は近年キーワードになっています。
そして、AI(人工知能)との付き合い方もホットな話題ですよね。
この本の中で小学生中学生の「「学ぶ力」を育むためにどうしたらいいか?」「学校で育てなければならない力とはなんなのか?」という問いに「記号接地」という概念を示しながら今井先生が道筋を示しています。
この「記号接地」とは
「記号接地」とは人工知能と認知科学における長年の末の解決問題である。1990年にスティーブン・ハルナッドという認知科学者が、当時のAIを批判して、記号接地問題(Symbol Grounding Problem)ということばでAIを特徴づけた。
「学力喪失-認知科学による回復への道筋」第7章 p196 1行目-5行目より
これだけ読んでもきっと何のことかよくわからないですよね?
つまり今みなさんは「記号接地」という概念に対して「記号接地できていない」つまり、言葉(記号)の意味をしっかり理解できていない状態です!
もっと「記号接地」の具体的な例が載っていたので私がざっくり要約してみますと……
「たとえば、我々人間は「いちご」という言葉は具体的に何を指しその言葉(記号)にどういう意味があるのか、どういうものを「いちご」と呼ぶのかを理解しているからこそ「いちご」という言葉(記号)を説明できる。
小さい子どもでも「いちご」と聞けば、言葉で説明できなくても「匂い、味、形」など自然とイメージできる。
でも、抽象的な概念みたいなものは触ったり見たりできないから、意味を理解するのが難しいので、言葉はなんとなく知っているけど頭の中でしっかり接地できていない(地に足がついていない)状態になっていることが多い。
それは小学校教育の算数の「分数」のような「数の概念」で現れやすく、一見子どもたちはわかっているように見えても、概念の意味を深く理解できていないケースがある。
しかし、学年が上がるごとにだんだん複雑かつ抽象的にになっていくので、需要な概念(たとえば、分数の意味、ゼロとはなんなのか?等)理解ができないまま学年が進んでしまう。
複雑な内容の文章問題が読めなくなり、問題が解けない……授業についていけない……勉強に躓く子どもが一定数いる。」
という内容が詳しくデータを用いてこの本に書かれています!(この本のテーマは「学力喪失」)
「言葉を深く理解すること」の重要性を本を読んで感じました。
そして、ChatGPTなどのAIは人間のように言葉(記号)の意味を理解し思考しているわけではなく、次の言葉を予測している「次のことば予測マシン(p197)」であると今井先生は述べています。
AIは概念をつくることはできないけれど、人間は少ない知識の中でも、知覚・感覚的にアクセスできる概念を見つけそこに接地させることができる。
私はこの本を読んで、日本語が母語ではない人にとっての日本語の「助詞」も同じこと(=記号接地が難しい概念)なんじゃないかと思いました。
つまり「記号接地」第二言語習得とも日本語教育ともつながっている!(そりゃ言語ですからww)
「語彙の習得」というのは「記号接地できている状態で自分の使いたい時に引き出せる状態」のことだと私は理解しました。
つまり、学習者がしっかりと「いつ・どこで・どのようにその言葉を使ったらいいのか」を理解している状態とも言えますね。
助詞も同じように「いつ・どこで・どのように使用するのか」をまず理解していなければ「助詞がわかった」状態、生きた知識にはならないということです。
う〜ん……とはいっても難しい……😭
じゃあ、「記号接地」の状態(生きた知識)まで行くにはどうしたらいいのか?
それは「トライ&エラー」を何度も繰り返してなぜおかしいのか考え検証しまた試す……自分でそのサイクルを回して概念に自分で到達していくことが大切だということが書かれています。
教師に求められることは、そのサイクルを促していくことなんだなとこの本を読みながら私は感じました。
他にも伝えたい部分があるのですが、これ以上書くとかなりのネタバレになるのでこれくらいにしておきます(笑)
前置きが長くなりましたが、このことを踏まえて、私がやっている助詞の方法を実際にシェアしますね😀
私が授業でやっている助詞の教え方

- 助詞の意味のまとめスライドやレジュメを作っておく
- 新しい動詞が出てきた時はかならず「助詞」も一緒に語彙リストに書かせる
- 例文を必ず提示する
- 会話練習や作文で理解確認し、ミスがあったら適宜フィードバックする
先述した「記号接地」の話からわかるように、例えば授業で
- 「に」は目的地
- 「で」は場所
と言葉のみで説明したとしても、学習者が実際の場面と結びつけて理解していなければ、会話の中で正しく使うことはできないといえます😞
なので、私は質問が出たり、テキスト内で取り上げたい時のために「助詞だけをまとめたスライド」をいつも準備しています💡
たとえば……助詞「を」は、こんな感じ↓です


初級でよく出てくる助詞「を」の多くは①の「対象物」の「〜をVます」ですね。
でも、動詞が増えると②「起点」や③「通過点」の意味の「を」が出てきてなんともややこしくなる😩
反対に「〜を降ります」が出てきた時は、助詞の意味は一つじゃないことを説明するのにいいタイミング✨(学生はよく「〜に乗ります」から考えて「〜に降ります」と間違えやすいです)
語彙を導入するときに、さらっとこのスライドを見せるだけでも学習者は「へ〜〜」ってなります。
その時には別に完璧にしなくてもいいと私は思っていて、「(家)を出る」「〜を出発する」「〜を卒業する」が出た時に毎回のようにこのスライドを出せば、「またこれね!」ってなります(笑)
その頃には何となく矢印のイメージが脳内で確立されているかと。
「視覚的に見せる」「学習者に実際に動作をさせる」ことも理解の手助けになります。
動作をさせるというのは「橋をわたります」と言いながら手でスッと左から右に動かす動作をみんなでする……みたいな。
結構、怪しい感じに見えますが、体を動かすと単調じゃなくなるので記憶に残りやすいです!
そして、語彙の教え方でもお伝えしたかと思いますが、助詞も同じで複数の例文が大事です!!
私はよく暇そうにしている人を当てて、「( )を出発する」の( )の名詞を考えてもらって理解確認&例文複製をしています!
なぜか「我こそは!」と結構、クラスが盛り上がりますww
そんな楽しいものではないのになぜか盛り上がる……謎ですww
「記号接地」の話からもわかるように助詞単独で教えても使えるようにはならないので、助詞を「経験」と結びつけること(=記号接地)が大切です。
ペアで会話を作らせたり、作文を書かせたりするときに軽くミスを指摘して理解を促すフィードバックもしつつ……って感じで私はやっていますよ。
助詞を教えるときに便利な本

「スライドや資料に助詞をまとめるのが大変だな……😥」と感じた人におすすめなのか、以下の書籍です↓
⭐️「日本語の助詞とよくある表現 Japanese particles and common expressions」秋元美晴ほか(著)
こちらの書籍は、イラストはもちろん、英語、中国語、スペイン語、ベトナム語の翻訳がついているので、学習者自身に購入してもらっても自分で学ぶことができるような仕様になっています。
助詞の用法使い方が例文付きで解説されていますので、わかりやすいです。
私の上記のスライドなんかよりも詳しく、わかりやすい✨
そして、学習者から聞かれる助詞の質問について取り上げられていて、答えも書いてあるので日本語教師の強い味方になってくれますよ。
あと、最後の巻末付録ところでは「コロケーション」が場面ごとに(たとえば、「仕事」「病気・健康」など)取り上げられているのでよく使う表現も一緒に学べます。
お金のコロケーションでは、「お金がかかる/お金をおろす/お金をくずす/お金を換える」が紹介されていますが、これは学習者にとっては一石二鳥どころか四鳥なんじゃないかと(笑)
こういう知識も教師側が常にストックしておいて、ぱっと授業の小ネタとして引き出せると学習者が注目してくれますよ🥸
Amazonのサンプルページが載っているので、興味ある方は覗いてみてくださいね!!😆
⭐️「イメージでわかる!日本語の助詞」家田章子(著)ほか
こちらの本はなんと、「イメージでわかる」と書いてあるだけあって動画つきのテキストです!
すごいですよね!本に動画がつく時代になったんですね!🥹
至れり尽くせり……
視覚的なイラストも助詞のイメージを捉えやすいので、学習者自身に購入を勧めたい一冊です。
⭐️「くらべてわかる てにをは日本語助詞辞典」氏原 庸子(著)ほか
この本は有名だと思うので日本語学校などでは教員室の棚にあったりすると思います。
タイトル通り、助詞の辞典になりますから、持っておいてもいいかな……と思います。
学習者向けというより、日本語教師向けの本です。
日本語文法ハンドブックみたいなイメージですね。
3冊紹介しましたが、全部買い揃える必要はなく、自分がどういう用途で使いたいのかによると思います。
ただ、助詞の教え方に困っているなら、どれか一冊読んでみることをお勧めします。
理由は、日本語ネイティブの人は助詞の用法を深く考えずとも自然に動詞にくっつけることができるので、日本語学習者と感覚が違うからです。
「は」と「が」がその最たる例かと。
助詞の用法は中学校の国語の時間(今は小学校かも?)で国語の問題にもなっている気がするので、改めて本を読んで確認することをお勧めします。
自分が言語化できないことは、わかりやすく学習者に説明できないとおもうので😙
まとめ

以前、知り合いの先生から、「助詞ってどうやって教えていますか?」と聞かれ上記の教え方を伝えたことがあります。
そしたら、その先生から、
「え?さじここさんは、全部の助詞の意味用法に例文をつけつつ、スライドや資料を作成しているんですか?!?😳」
目を丸くされたことがあります(笑)
私は教材を作ったりすることは苦じゃない人なので、ピッタリのものなければ「自分で作ればいいや」って思って作ってしまいます(笑)😆
逆に作りすぎて、めちゃくちゃたくさんスライドとかテストとかありますよ。
作れば作るほど覚えられるので、どんな教科書でも対応できるまでになりましたので、やってよかったなとは思います……
でも、最近は本当にいいものがオンラインで公開されていたり、書店に行けば日本語教育コーナーがあったりしていいテキストに出会えると思うので、皆さんは私のように無理に頑張らなくてもいいとも思います。
私は好きだからやっているだけなので、やりたい人はぜひ自分のスライドを作ったりしてみる、そうじゃない人、無理そうだと感じた人はとりあえず紹介した本のような便利なアイテムに頼って無理なく日本語教師をやっていくのがいい!
楽しくて、無理のないことが一番です!!!
「記号接地」の話は興味がない人もいたかもしれませんが、最後まで読んでくださりありがとうございました!
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