【オンライン日本語教師】ビジネス日本語の教え方のポイント〜学習者が求めているビジネス日本語とは?〜

日本語の教え方

最近、オンラインで日本語を教え始めたんですけど、ビジネス日本語を教えてほしいと言われて困りました…。さじここさんは、どんな感じでレッスンしているんですか?

さじここ
さじここ

そうですね…私の場合は……

こんにちは。日本語教師のさじここです。

なかなかコロナが収束しないので、オンライン日本語教師でがんばろう!頑張っている方が多いかと思います。

私も実はその一人で、実はコロナの前の2019年ぐらいからitalkiに登録しレッスンをしているので、なんだかんだでオンラインで教えて3年目になります。

私のレッスンに予約してくれる人の多くは私のの経歴を見て、「ビジネス日本語を教えてほしい」「就活指導をしてほしい」という方が多いです(8割はビジネス関係)。

初級の日本語やJLPT対策と違って、ビジネス日本語をリクエストされてもイマイチ何を教えていいかわからない…という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

その方の少しでも助けになればと、私のやっているビジネス日本語の内容と今まで予約してくれた学習者のニーズ、そしておすすめテキストをシェアしたいと思います。

よろしければ、参考にしてみてください😁

学習者のニーズ

みなさんは、オンラインレッスンをするとき、学習者のニーズを聞いているかと思います。

私は必ず「日本語をどうして勉強しているのか?」「どうしてこのレッスンを予約したのか?」「今困っていることは何か?」のような質問をして、学習者のニーズをチェックしています。

ビジネス日本語を勉強したい人は、たいてい「これから日本で就職したい」or 「職場で日本語を使う必要がある」のどちらかです。

「これから日本で就職したい人」も「職場で日本語を使う必要がある人」はどちらも「ビジネス日本語を学びたい」と言ってくると思います。

でも、「まだ働いてない人」と「すでに働いている人」では学習者が求めているビジネス日本語が違うので、学習者の「ビジネス日本語を勉強したい」という言葉をそのまま鵜呑みにして、両者を同じ内容で教えると学習者の心の中で「なんかこれじゃないかも…?」が浮かんだレッスンになってしまうかもしれません…😅

というのも、オンラインでプライベートレッスンを始めた当初は、あまり学習者のニーズを聞かずにレッスンを進めてしまい、1〜2回ぐらいで予約が入ったら、パタリと連絡がなくなってしまいました……

もしかしたら金銭的な面や単にスケジュールが合わなくなっただけかもしれません。

でも、自分のレッスンは本当にその学習者の求めているものを提供できていたのか?と聞かれたら、自信はありませんでした😥

なので私はビジネス日本語のレッスンに関わらず、学習者の初回のレッスンで学習者のニーズを深堀りして、学習者一人ひとりに合うレッスンプランを考えて提示するよう心掛けています。

【これから日本で就職したい人向け】のレッスン

「日本で就職したい」と考えている学習者の多くは、就職面接を心配しています。

日系企業で働きたい場合、面接は日本語で行われるため、学習者は「面接対策」を望んでいる場合が多いです。

最近は日本の大学に留学していて、これから就活をする留学生の予約も増えています。

そんな学習者に向けて行う主なレッスン内容は

  1. 面接時のマナー
  2. 自己紹介
  3. 面接を想定したQ&Aの練習

【1.面接のマナー】についてですが、日本の就活は日本人でも色々気をつけないといけないポイントがありますよね。

たとえば、服装や入室の仕方、椅子の座り方など…😅

(以下のサイトにそのへんのポイントが詳しく書かれていますので参考にしてみてください→マイナビ転職「面接マナーで私が不採用を決めたわけ」〈https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/mensetsu/manner〉)

独特の日本文化というか就活文化があるので、私はレッスンの中で「面接時のマナー」について触れるようにしています。

【2.自己紹介】ですが、案外これができない学習者が多いです。

私はトライアルレッスンでなるべく学習者に自己紹介をしてもらいますが、やはり初対面の相手だと緊張してしまいうまく話せず、カジュアルな言い回しになっていたり、文と文の接続が不自然になったりします……😅

まあ、緊張すると話している内容がよくわからなくなってしまうのは日本人にも言えることだと思いますが……(笑)

私は学習者には「自己紹介で盛り込む内容」を伝えて、学習者の言葉でテンプレートを一緒に作って、いつでも引き出せるようにレッスンをします。

自己紹介で盛り込む内容は例えば…

  • 名前、出身地
  • 日本語学習歴
  • 職歴
  • どうして日本で働きたいか  等…

そしてそのときは「敬語」「です・ます体」で話せるように練習します。

学習者に自分で話させて、細かい文法ミスや敬語を添削する感じです。

この自己紹介は次の「職場で日本語を使う必要がある人」のレッスンでもやったりします。

初対面の人に「ちゃんと自己紹介ができる」というのは、ビジネスの世界はもちろん、日常でも必要なことだと思います。

いろんな場面で使えるように、短い簡単な自己紹介〜面接用のかなり真面目な自己紹介まで、いろんなバリエーション練習すると学習者に喜ばれます😁

【3.面接を想定したQ&Aの練習】では、私は必ず「どうして、その会社に入りたいと思ったか?」と学習者に聞いて答えられるよう練習しています。

採用側の人間のとき、私は必ずこの質問をしていました。

たとえ履歴書やエントリーシートに志望動機・志望理由が書いてあったとしても、やっぱり本人の口から直接聞いてみたい、知りたいもんなんです(笑)😅

余談ですが、志望動機・志望理由があたかもネットで探してきたような模範解答的な、ありふれたもの、美しい言葉(熟語)を並べたものよりも、多少表現が下手でもオリジナリティや体験談から語ったもののほうが印象が良い=面接を突破できる確率があがります。

相手は採用のプロ、何十人、何百人、何千人と面接をしてきているわけですから、テンプレート的なものはすぐ見抜かれます。

これはもちろん履歴書や、エントリーシートでも言えることです。

面接突破のコツは、「いかに自分の言葉で自分の熱意を伝えられるか?」がポイントだと私は実感しています。

よく面接で聞かれることは、日本人向けの就活サイトとあまり変わらないと思いますので、就活サイトを参考にしてみてはいかがでしょうか?

【職場で日本語を使う必要がある人】向けのレッスン

「海外の日系企業で働いている 」or「 日本ですでに働いている」人の多くは、『自分はN2(N1)を持っているのに、職場でうまく日本語が使えない、わからない😫』と悩んでいます。

そして、この「職場でうまく日本語が使えない、わからない」という言葉の裏にも様々な背景があることがポイントです。

たとえば、私のレッスンを予約してくれた学習者Aさんは、日本のIT企業で働いていて日本語レベルもN1です。でも彼女は電話で取引先と話すことがとても苦手で、スムーズに受け答えできずに悩んでいました。

また学習者Bさんは、外資系の企業で会話は基本英語ですが、たまに日本語のメールや資料を読まなければならないためビジネス日本語が学びたいとレッスンを予約してくれました。

学習者Cさんは、週一回の定例会議のときにプロジェクトの進捗状況をみんなの前で説明しなければならないのに、いつも初級レベルの文法ばかり使ってしまうのが悩みだと打ち明けてくれました。

このように、一人ひとり困っている場面が違うので、私はレッスン内容も一人ひとりアレンジしてやっています。

学習者に「いつ・誰と・どんな場面で」うまくいかないのかを話してもらいながら、便利なビジネスフレーズや文法ミス、ビジネス場面でよく使われる語彙を教えます。

そして、ロールプレイで同じシチュエーションを何度も練習した後、シチュエーションを変えて練習します。

でも、この記事を読んでくださっている「なかなかとっさにロールプレイやビジネスでよくあるシチュエーションなんて思いつかない!😥」「自分は企業で働いたことがないからわからない…😫」という方もいらっしゃるかもしれません。

そんな方には、以下のテキストが個人的におすすめですので、参考にしてみてください😁

私がおすすめするビジネス日本語テキスト

学習者から、「何かいいビジネス日本語のテキストがないか?」と相談されることもあると思います。

また、「テキストに沿ってやったほうがしっくりくる」方もいらっしゃると思います。

最近は本当にたくさんのビジネス日本語のテキストが発売されていて、何を使うか迷ってしまいますよね…😁

私が実際に使って使いやすい2つを紹介します!

おすすめテキストその①

「新にほんご敬語トレーニング 初級が終わったら始めよう」

このテキストは、初級が終わった「敬語が苦手な学習者」におすすめです。

敬語のポイントがわかりやすくまとまっていて、英語と中国語、韓国語の翻訳もついていますので、学習者自身で読み進めることもできます。

また「電話の敬語」「サービスの敬語」など、場面を重視したテキストですので、学習者が苦手とする状況や使用する場面のみ練習することが可能です。

(私はよく「電話対応」の部分を使っています)

このテキストの流れとしては……

「敬語がうまく使えていない会話例」を学習者に聞かせて(提示して)、何がおかしいか一緒に考える→敬語の基本を確認(尊敬語・謙譲語など)→練習→最初の会話の模範会話

という感じです😃

通常なら、ここで練習が終わりですが、このテキストは応用練習としてロールカードが付録についています!!(それも対訳つきで)

レッスンでロールプレイしたいけど、どんな状況をやったらいいかわからない方はこちらを参考にしてみてはいかがでしょうか?

おすすめテキストその②

「人を動かす!実践ビジネス日本語会話(中級1)」

これは初級が終わった、「より実践的なビジネス日本語」を学びたい学習者におすすめです。

これは日本語学校で日系企業勤めているインド人とインドネシア人のレッスンをしたときに使用しました。

このテキストのいいところは、

  • ビジネス現場で使用される語彙たくさん出てくる
  • 〈相手を説得する〉や〈気遣って声をかける〉〈相手を知る〉などの具体的な談話が提示されていて、話の展開を意識しながら練習できる
  • スリーエーネットワークのサイトに補助教材がある
  • 英語訳あり

実際に使ってみて、よく使うビジネスフレーズやビジネス語彙がたくさん出てくるので、学習者は「あ〜これ、メールでよく使います!」とうれしそうでした。

また、談話練習のセクションでは、会話の一部が空欄になっていて、そこに「近況を言う」「理由を言う」「返す」みたいに会話の流れが書いてあるので、会話の流れや展開、発話意図を意識しながら練習できます。

でも、このテキストの難点として…

  • 文法の説明部分はほとんどなく、対訳の英語が書いてあるだけ(接続の説明もない)
  • 文法の例文も一つだけしか掲載されていない
  • 文法の問題は全くついていないので教師が理解確認問題を作成しなくてはいけない

見てわかるように、このテキストの難点は文法説明がほとんどないところです😅

文法はN3〜N2レベルのものですが、後半はほぼN2レベルの文法です。

初めてN2の文法に出会う人はこのテキストだけではちょっと大変かもしれません。

教師側補足説明、補足資料を作成する必要があるかと思います……

私はほかのテキストから集めた文法の補足資料や例文を作成していました。

(すでにN2、N1を持っている人には問題ないかと思います)

まとめ

このコロナ禍で一気にオンラインで日本語を教えたい、教えている日本語教師が増えてきています。

オンライン日本語教師は、自由度が高いと言うと聞こえはいいですが、学習者獲得の仕方(自己PR)やレッスン内容、価格設定や学習者一人ひとりのフィードバックなど考えなければならないこと等、やらなければならないことはたくさんあります。

つまりそれは、顧客獲得競争が激化しているということなので、以前よりも自己PRを強化していかないとなかなか学習者からの予約が入らないのだと、私自身が痛感しています😅

何か欠けていると、なかなか学習者から予約が入ってこない(=新規顧客が獲得できない) or レッスンを続けてもらえない(=新規顧客が固定客にならない)と、自分に自信がなくなってしまうことも……😥

そんな中で、需要の高い「ビジネス日本語」を教えられるというのは強みになると思います。

そして、ビジネス日本語を学びたい学習者の多くは、割と単価が高くてもレッスンを予約し続けてくれます。

「仕事で必要!」「日系企業に就職したい」という具体的な目標があるので、予約してくれている人の多くは真面目な方で、とても熱心です😁

もし、オンラインレッスンの予約が伸び悩んでいましたら、戦略を変えてビジネス向けの日本語レッスンをやってみてはいかがでしょうか?

この投稿がお役に立ったら幸いです。

本日も、最後までお読みいただきありがとうございました。

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