授業の振り返りや他の先生に聞くこと以外に、新人の頃からやっておくといいことはありますか?
そうですね…あとは…
こんにちは、日本語教師のさじここです。
今回の記事は、前回の「私が新人のころからやっていてよかったこと」の後編になります。
まだ、前回の記事をお読みになっていない方はぜひそちらの記事↓も読んでみてください(記事はそれぞれ独立しているので、どちらから読んでも大丈夫です!)
最後までお付き合いいただけるとうれしいです😊
やっていてよかったことその③:他の先生の授業見学
みなさんは、他の先生の授業を見学したことがありますか?
日本語学校の新人研修では新人の先生と同じレベルのベテランの非常勤の先生の授業、もしくは常勤の先生の授業を見学するように設定されている場合もありますね。
でも、新人じゃないとそんなに親切に常勤の先生が授業見学のセッティングをしてくれることはあまりないと思います。
学校によっては、そういうこと自体を常勤の先生が全くやってくれない場合もあります。
私が初めて勤務した日本語学校はそのタイプで、右も左も分からない状態だったので、自ら直談判していろんな先生の授業見学をお願いしました😅
この授業見学こそが今の自分の授業を支えているといっても過言ではありません!
もし、「一度も他の先生の授業を見学したことがない…」という方はぜひ授業見学をお願いしてみてください。
どんな参考書をたくさん読むより学びがあります!
百聞は一見にしかずです!!😊
私は新人の頃から今まで見学した先輩、同僚の授業見学は20を超えます。
勤めた3校全部でいろんな先生の授業見学をお願いしてきました(常勤、非常勤講師問わず)。
常勤講師になると非常勤講師の授業のチェックで何度も授業見学に入る機会があるかもしれませんが、非常勤講師の場合は自主的に動かないと「常勤講師から見学される」ばかりで、「自分が見学する立場になること」はほとんどないかも…😅
そんな貴重な機会なので私は授業見学するたびに細かくメモを取り続けてきました。
それは今でも私の「日本語授業の虎の巻」になっています😃
その先生の作るクラスの雰囲気や、キューの出し方、声のトーン、視線など、映像や文字ではなかなか伝わらない臨場感みたいなものが授業見学ではヒシヒシと伝わってきます。
授業見学をする前…私は、「教え方が上手い先生」というのは「文型の違いや語彙の違い、適切な例文を提示できる…」などの沢山の知識面を備えていることだけをイメージしていました。
でも、授業見学をして「文法の教え方が上手い」という言葉には知識面だけではない、いろんな要素が含まれていることを感じました。
いろんな先生の見学させてもらったことで、私は自分が理想とする授業、尊敬する先生にも出会えましたよ😊
授業見学チェックポイント
なので、授業見学はただぼーっと見学しているだけではもったいないです!!
せっかく見学をさせてもらうのですから、学び取る姿勢が大切です。
私は以下のこと↓を意識しながら見学させてもらっています。
見学すると学生の反応を客観的に見ることができますから、ぜひ見学する際は学生の表情などを特にチェックしてみてください。
いろんな「気づき」があると思います😃
私が授業見学を依頼し、見学させてもらうときに気をつけていることがあります。
見学依頼をするときは…
する側もされる側も経験した私だからこそ、授業見学をさせてもらうときは、相手の先生に敬意を払って見学する姿勢が必要だと感じます。
だって、自分の授業を見られるのって緊張しますから😅
そして、授業全てはその先生の知的財産です!!
それを無料で見せてもらえるなんて、本当にすばらしいことなのです!!
そんなすばらしい行為に敬意を払うのはある意味当たり前だと個人的に思っています😃
そして、その授業見学をさせてもらえることは当たり前ではなく、先生によっては断られることもあります。
そういうときはさっと身を引きましょう。
たとえ断られても「その先生は自信がないから見せられないんだ…」と思わないでくださいね😅
授業見学は先生だけでなく学生にとってもプレッシャーを与える行為になりかねません。
見学者が入ると、普段とは違う環境に置かれますから、いい意味でも悪い意味でも学生に影響が出ます。
いろんな要因から授業見学を断っている可能性があるので、断られたら無理強いしないことをおすすめします。
授業見学ではありませんが、私は過去に新人の先生の私の学生面談を見学したいとの申し出を学生への配慮を理由に断ったことがあります。
(でも残念ながら、理由を説明してもその新人の先生から何度も依頼が来てやっかいなことになりました😓ちょっとしたトラウマです…)
でも…「授業見学させてもらいたい…」
じゃあ、どうしたら見学させてもらえるのでしょう?
そのポイントは「必要性」と「関係性」です。
依頼するときに、「どうしてその先生の授業を見学したいのか(必要性)」を具体的に伝えることで見学させてもらえる可能性がぐっと高まります。
ぜひ自分に置き換えてみてください…
AさんとBさんがあなたに次のような依頼をしてきました。
一人だけOKにするならどちらを選びますか?
Aさん:授業見学させてもらえませんか?
Bさん:〇〇先生の文法の導入がすばらしいと専任の先生から伺ったので、見学をさせてもらえませんか?
大半の方は、Bさんを選ぶと思います。
私自身授業見学を依頼されたとき、真っ先に感じるのは「なんで私なんですか?!他にもすばらしい先生がいるのに…」ということです。
私はその理由を教えてもらえれば、「なるほど…それなら…」とOKしちゃいます(笑)
逆に私もそうやって依頼をし、見学の承諾を得てきましたから、ぜひ相手に誠実に伝えてみてください😊
また、個人的に全く話したことのない先生からいきなり「授業見学をさせてほしい」と依頼されても、「え?なんでですか?(あなただれ?)」ってなります(笑)😅
つまり、「周りの先生とコミュニケーションをとって人間関係を構築してから(関係性)」授業見学を依頼したほうが相手は受け入れやすいかと思います。
この記事で授業見学を勧めている私ですが、「軽い気持ちでは授業見学はしてほしくない」と思っています(その理由は次の部分で書いてあります)。
見学をお願いするときは慎重に、かつ相手への配慮と謙虚な心を持ってお願いしましょう😊
経験的に、非常勤の先生より常勤の先生のほうが研修の一環として授業見学をさせてもらいやすいと思いますので、最初にアタックするならまず常勤の先生に相談してみてください。
授業を見学中は…
授業見学は授業中の態度も重要です。
みなさんは一度は日本語学校の採用のときの模擬授業や養成講座などで自分の授業を人から見られたことがあると思います。
何度経験しても、授業を他の人に見られるのはやっぱり緊張するものです😥
私は先述したように、新人の先生や常勤の先生が何人も私の授業見学に来ました。
常勤の先生は毎期の授業チェック(給料査定)だったので、真顔で見ていても仕方がないとは思いますが…さすがに自主的に見学に来た先生が真顔もしくは仏頂面で見ていたら、見られているのが新人の先生だとしてもすごく緊張します……😅(私がチキンなだけかもしれませんが…)
それは学生にとっても同様です。
学生に「今日ある先生がこの授業を見に来ます」と伝えると、「え?私達がだめだからですか?」と不安そうに聞いてきます。
外部の人がクラスに入るのは学生の集中を妨げる可能性がありますから、そちらも配慮が必要です。
余談になりますが…私が授業見学をされたときの中で一番腹立たしかったことがあります。
私が授業をしているにも関わらず、授業中見学に来た常勤の先生がいきなりスマホを触った学生を「なにスマホを触ってるんだ!」と怒鳴った……。
授業後の授業見学のフィールドバックで怒鳴った理由を「その学生がスマホを触っていたから、いや〜さっきはごめんね」と平然と言っていましたが、その謝罪に納得できず、「私はどうして怒鳴る必要があったのか?私はタイミングを見て注意しようとしていた。なぜほかの学生の配慮できなかったのか?」と新人非常勤の立場を忘れて食って掛かっていったことを今でも覚えています😅
怒鳴られた学生は元々勉強に熱心ではなくて、やっと最近少しずつ授業に参加するようになってきたところでした。
でも、怒鳴られたその日はずっと机に伏してしまい授業中は一切顔を上げず、そしてクラス全体の雰囲気もその一瞬で重くなってしまい、よく喋る学生すらあまり発言しなくなりました。
たしかに、学校のルールを破ってスマホを授業中に触っているのはよくない行為ですが、それを見学の先生が授業をしている先生を無視して注意するのは個人的にどうなのかと思います。
そもそも怒鳴る行為自体、教師としてどうなのかと思いますし、注意するにしてもクラスの雰囲気を配慮して注意すべきだったと思います。
授業後に私経由で注意することもできたと思います。
一度壊れてしまったクラスの雰囲気を立て直すのって結構大変です😥
怒鳴られた彼女のように学生側が萎縮してしまうと、その後のペアワークや発表などしなくなる場合もあります。
さすがにこの先生のように怒鳴る人はまずいないと思いますが、見学者のちょっとした不機嫌そうな態度や行動は、先生へのプレッシャーを与えるだけでなく、クラスの雰囲気を乱す恐れがあるので気をつけたほうがいいと個人的に思います。
授業見学が終わったら…
授業見学が終わったら、見学させてもらった先生にお礼の言葉をぜひ伝えましょう。
見学してったのに、さっと帰っていく先生も中にはいます。
たとえ常勤の先生からの指示で見学をしに来たとしても、そこは社会人のマナーとして一言なにか伝えたほうがいいと個人的に思います。
授業見学が終わっても、その先生との学校でのお付き合いは続くことをお忘れなきよう…😅
その際に、授業のよかった感想を一言伝えると相手はうれしくなります😊
逆に、ネガティブなことはあまり伝えないほうがいいです。
その理由は、あなたはその先生の授業を見学させてもらった身であり、その先生の授業を上から評価する立場にないからです。
相手の先生から「なにか気になることがあったら教えて下さい」みたいに聞いてきたら、伝えてもいいかもしれませんが、その授業のやり方等はその担当の先生の問題であるのであまり波風が立つようなコメントはしないほうが身のためだと思って私は基本的にネガティブなコメントは控えています。
反対の立場に立って考えてみるとよく分かると思います。
せっかく授業を見学させてあげたのに、その先生からダメ出しばかりされたら「見せなきゃよかった!もう二度と授業見学はお断り!」と思うのではないでしょうか?
もしかしたら、見学した先生は良かれと思って授業の問題点を指摘してあげてるつもりかもしれません😥
でも、ときにそれは大きなお世話になってしまうことも…😓
よくある話です……
互いの信頼関係がないまま、相手の問題点を波風立てずにうまく伝えることは難しいので、ネガティブなコメント自体を避けたほうがいいかと思います。
これを読んで「げ、授業見学するだけでいろんなことを考えなきゃならないなんて面倒くさい…」と思われたかもしれません。
そう、授業見学は面倒くさいです。
自主的に見学する時間はもちろん無給です。
でも、どんな参考書をたくさん読むより10倍20倍勉強になります!!
これは嘘のような本当の話です。
百聞は一見にしかず!
新人のうちにいろんな先生の授業を見せてもらってください😊
やっていてよかったことその④:授業を自分で考えること
やっていてよかったことの4つ目は「授業の導入〜応用練習まで自分で考え、実践していた」ことです。
これはほとんどの方がやっていると思います。
文法の導入の仕方や練習内容を自分で考え、授業をデザインする癖がついたおかげで、今ではどんな教科書でも対応できるようになりました。
本当にずっとやっていてよかったと思っています😊
新人の頃は教案や授業の教材が貯まっていなくて「みん日の1課の半分」の授業準備に3時間〜半日もかかっていて泣きそうになりました😭
当時はこんなにデジタル絵教材もないし、絵カードCD-ROMは高いし……(泣)
でもイチから自分で考え続けたことで、例えば以下のような↓自分の成長がありました。
- 教科書を分析したり文法を調べたりする癖がついた
- 文型導入〜理解確認〜練習〜応用練習の流れを考えながら授業を構成する癖がついた
- 語彙導入の仕方を工夫する癖がついた
- 導入に適した例文を自作できるようになる
- 授業のゴール(目標)を考えて授業デザインできるようになる
- さまざまな応用練習の案を持っている
今ではどんな教科書でも(たとえその学校のオリジナルテキストでも)対応できるようになりました。
これはコツコツ自分の頭で考えながら教案を考えたからだと思います。
今は、親切な方が無料公開してくれている教材や教案がネットにたくさんあります。
ネットで無料公開されているものはどんどん使用して効率的にやるのはとてもいいと思います。
私もたまに絵教材は使わせてもらったり、どうしても例文が思いつかないときは、ネットで探したりするときもあります😊
しかし、私はだれかの教案をそのまま使用することは一度もしたことはありません😅
個人的に、他の人が作ったものを完コピして授業をやっても、うまく行かない気がするからです。
導入は学生への「仕掛け」が重要ですし、例文も学生が身近に感じられるものがいいと思います。
でも、他の人が作ったものが自分の学生に当てはまらない可能性もあります。
また、「??」となるような導入例や練習も個人が公開している教案には見受けられたりします。
その点は出版社が出している教科書準拠の書籍は、ちゃんと監修が入っていますから安心です。(例えば、みんなの日本語の「教え方の手引き」↓)
自分の頭で考えて、使えそうな部分をうまく使わせてもらうのがいいと個人的に思います。
イチから自分で考えるのってかなり労力も時間も必要ですから大変です。
そのせいで日本語教師の時給は100円…なんて言われるくらい…😓
日本語教師ってある意味「職人」なので、修行は必要だと日本語教師6年やって感じます。
(私の主人は私の授業準備を見て「職人作業」と呼んでいます(笑))
どんなすごいベテランの先生でも下積み時代はあったのではないでしょうか?
私の場合、自分の頭で考えたものは知識として記憶に残っていますから、例えばitalkiでプライベートレッスンをするときも、他の職場で日本語を教えるときも、大学院の授業でも役に立っています😊
個人的な感覚として日本語教師3年目ぐらいから教案が結構たまって、ちょっと準備が楽になったかな…という感じです。
考えても思いつかないとき、行き詰まったときは、他の先生に相談したり、上記の教え方の手引きみたいな書籍を読んで見たり、ネットで例文を探してみたりすればいいと思います。
もちろん、授業見学もおすすめです!!
最初から全てを頼って他人の教案に依存すると、のちのち後悔することになります(例えば、そのサイトがなくなったり、間違ったことを学生に教えてしまったり、教科書が変わったり等…)。
新人のうちは本当に大変ですが、「まず自分で考えてみる」ことはやめずに頑張って続けていってほしいと思っています。
それは皆さんの日本語講師としての血や骨になりますから!
「教案がなかなか書けない…」「うまく授業を組み立てられない…」という方は、以下の本↓が参考になるかもしれません。
こちらの書籍は、私は新人の頃にとてもお世話になった「日本語教師の7つ道具シリーズ」の「教案の作り方編」です。
割と薄い本で、ポイントがとてもわかりやすくまとまっているので読みやすいと思います。
具体例もあるのでぜひ参考にしてみてください。
また、私もこんな記事↓を書いていますので、興味のある方は御覧ください。
まとめ
前回の記事と今回の記事あわせて、「私が新人のころからやっていてよかったこと」になります。
(他にもある気がしますので、思い出したらそれはまた別の記事で…😅)
これらはあくまで、私個人の主観で書いていますので賛否両論あるかと思います。
特に最後の「授業を自分で考える」部分は、授業準備に関わることなので、人によっては「自分で全部考えるなんて非効率だ」「誰かの教案を使わないとこの時給ではやってられない!時代不相応だ!」なんて思われた方もいらっしゃるかもしれません。
おっしゃることは過去の自分も感じておりました。
でも、たった6年ですが、6年経験した今だからこそ見える景色もあるのです。
私は別に人の産物を全く使わずに自分で全て準備しろとは言っておりません。
むしろ使えると思ったアイディアはどんどん使ったり、絵を書いたりする手間はどんどん省くべきだと思います。
問題は、「どうしてそれを使うのか?」「どうしてその導入が自分の授業に適切だと思うのか?」というWhyの部分を【まず自分の頭で考えず】にやっていると日本語教師としての成長が止まってしまう…効率を求めるがゆえに日本語教師として学んでいくはずの知識や経験が欠落してしまう危険があると思うのです😥
自分の手を動かすことはどんな仕事でも大切だと思います。
私は授業見学をさせていただいて、すばらしい授業にたくさん出会いました。
ある日、尊敬している先生に聞いてみたのです。
「どうやったらそんな授業ができるようになりますか?」と…
そしたら、その先生はにやりと笑って…
「いっぱい失敗をすることだね!自分の頭でしっかり考えて、授業を沢山やって、学生からいっぱい教わりなさい」
と言われました。
それから私はたくさん失敗を繰り返し、いろんな先生にときに厳しく指導され、ときに優しく諭されながらここまでやってきました。
これは個人的な意見ですが、日本語教師だけでなく教師の授業準備というものは「効率的に作業できる部分」と「そうでない部分」があると思っています。
「そうでない部分」は先述したように授業の構成の部分で、そういう部分にオリジナリティがでてきて面白いと思います。
新人日本語教師の方はぜひ今のうちに自分の頭で考えながら、試行錯誤を繰り返してください。
最後に…
ぜひ、新人の頃の教案はぜひ大切に保管することをおすすめします😊
教師の成長って数値では測れませんが、過去の教案から昔と今の自分の授業の違いがわかり、自分の成長を実感できるときが来ます。
今新人の頃の授業スライドや教案を見返すととても恥ずかしい気持ちになりますが、同時に頑張っている自分がそこにいるはずです。
この記事を読まれている方はきっと、ずっと頑張っている高い志をお持ちの日本語教師の方だと思います。
でないと、こんなタイトルの記事を読もうとは思わないです。
そして、みなさんは本当によく頑張っています!
ですから、たまには頑張った自分を「今日も自分はがんばった!えらいぞ!」と褒めてあげましょう。
時々肩の力を抜きながら、息抜きもしながら…自分を振り返ったり、他の先生に助けてもらったりして、成長する日本語教師を目指していきましょう。(自戒の念を込めて…😅)
最後までお読みくださりありがとうございました。
この記事が少しでもお役に立ったら幸いです。
また、日本語教師の先輩の名言をまとめた記事↓も書いておりますのでぜひこちらも読んでみてください😊
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