日本語教師のさじここです。
初級を教えるときに、いろいろ気をつけなければならないポイントがあると思います。
結構、早い段階で出てくるのが名詞の否定形の活用。
たとえば……「私は学生じゃないです。」
でもこれって、教科書によっては、「私は学生ではありません」だったりします😱
ちなみに『みんなの日本語』では「私は学生じゃありません」になっています。
一つの教科書だけで教え続けるならそれほど混乱しないと思うのですが、学校を掛け持ちして教科書を色々使うと教師の私が混乱します!(笑)
そこで、今回は、私が初級を教えるときに混乱しがちな項目を紹介したいと思います。
あるあるネタかもしれません。
暇つぶし程度にお付き合いください〜〜😅
困った項目その①:い形容詞、な形容詞、名詞の活用
先述しましたが、ゼロ初級クラスを受け持つ時に真っ先に教科書で確認する項目がこの「い形容詞、な形容詞、名詞」の否定形の活用です。
【い形容詞】高くないです/ 高くありません
【な形容詞】元気じゃないです/ 元気ではないです/ 元気じゃありません/ 元気ではありません
【名詞】学生じゃないです/ 学生ではないです/ 学生じゃありません/ 学生ではありません
こう見ると、結構パターンがありますよね……😅
教科書間で統一されているかと思いきや、結構バラバラな気がします。
たとえば、『みんなの日本語』『できる日本語』は「学生じゃありません」「元気じゃありません」ですが、『げんき』は「学生じゃないです」「元気じゃないです」を使用しています。
以前勤めていた日本語学校オリジナルテキストでは「学生ではありません」「元気ではありません」で教えていましたから、教師の私の方が混乱します。。。
みなさんの学校のテキストはどのタイプで教えていらっしゃいますか?
そして、みなさんは混乱したりしませんか?(笑)🥲
私は教師歴が長くなってきて、色々対応することに慣れてきましたが、やっぱり養成講座終わって日本語教師デビューしたばかりの人はここの部分でびっくり or 困惑するかと思います。
私はマジ、びびりましたwww
え?教科書によって違うの??!とびっくりしました。
そして、ちょっとできる学生が教科書外の活用を使って発言してきます(笑)
そして、「先生〜〜『学生じゃないです』はOK??」なんて質問がきます。
あるあるです。
それに付随して、中間期末テストはどうするのか問題が発生するかもしれません。。。
でも大抵の場合、教科書に沿って文法を導入していくと思うので、教科書にでている活用を使用して授業を進めていきます。
日本語教師デビューしたばかりの方は、1課2課の段階で教科書外の他のパターンを出さないように気をつけたほうが無難です。
というのも、新人だった私はこの地雷を何回か踏んでしまって、学生を混乱させたことがあるからです……😅
ちなみに、この形容詞名詞の否定形のパターンがいくつかあるという説明は、あまり教科書に載っていません。
「げんき」は英訳でさらっと注釈がついていますが、他の教科書はあえて触れていないような雰囲気が漂っている……(個人的見解です)
しかし、そういうポイント(項目)こそ学生が気になるものです😅
なので、私は聞かれたときのために、上記のパターンを書き出したスライドを用意して、「バリエーションあります。「〜ではありません」がよりていねい(more polite)です。」と若干英語を使って説明しています。
そういうスライドを用意しておくと安心できますから、おすすめです(ただし、聞かれなければお蔵入りです←1課2課あたりでは、あえて言わなくてもいいかもしれませんので)
ちなみに、この活用問題は形容詞、名詞の普通形を導入する時にも関係するので、スライドやプリントを作る場合は教科書を意識した方がいいかと思います!!
困った項目その②:「〜なければいけません」「〜なくてはいけません」
- 〜なければ いけません
- 〜なくては いけません
- 〜ないと いけません
- 〜なければ なりません (組み合わせは他にもありますが省略します)
こちらも、先述した形容詞、名詞の活用と同じ感じのやつで、教科書によって違います……😅
私は最近やらかしました……
ちょうど、掛け持ち学校の初級クラスの授業進度が似ていました。
でも使用教科書が違っていて、確認したはずなのに、授業中うっかり「〜なければいけません」と言わなければならないのに「〜なくてはいけません」と言っていた……😱
「先生〜『〜なくてはいけません』」って何ですか?」という質問で自分のミスに気づくという……
ダメダメ日本語教師です。
1校だけで教えていた時はこんなミスは絶対しなかったのですが……😥
完全に準備不足で、頭が切り替わってなかった〜〜〜!!
いろんな初級の教科書を日替わりで教える弊害ですね。
私の反省はおいといて、こちらの表現について初級教科書(文法書ではない)詳しく解説されていることはあまりないかと思います。
でも、よく聞かれる(笑)
手持ちの教科書を調べてみたら、この表現のバリエーションに触れているのは「げんき」だけでした。
それも3行程度の注釈(英訳)です。
これにはカジュアルスタイル「〜なきゃいけません(〜なきゃ!)」もありますよ。
新人の先生だと急に聞かれると混乱するかもしれませんね。
ちなみに私は新人の頃も混乱しました。
「なんでこんなにバリエーションあるんですか?!違いって何?!」ってなりました。
学生に違いを聞かれて即答できなかったので、
『ごめんなさい、先生の宿題にしてもいいですか?』と学生に時間をもらい、家に帰って文法書で調べました(笑)
学生からの質問が怖い先生もいらっしゃるかと思いますが、「『先生の宿題』戦法」がおすすめです。
適当なことをその場で言って、間違ったことを教えるより「先生の宿題にします!」と学生に時間をもらったほうがお互いのためです(笑)
ちなみに、私はもちろん間違ったことを教えたこともあります!(←いばるところじゃないww)
その間違ったことを教えて周りの先生に迷惑をかけたこともあります!
その度に学生からの質問恐怖症になったり、めちゃくちゃ教えることに神経質になったりしました。
即答できない時は「先生の宿題」!
間違ったことを言ってしまって気付いたら「謝罪+正しい解説」を自分がするor引き継ぎで他の先生に訂正してもらう(自分がすぐ授業に入らない場合)!
これが私の失敗から学んだマイルールです(笑)
でも、教科書に載っていなくて学生に聞かれていないなら、わざわざ類似表現を教える必要はないですよ。
文法や語彙の違いが知りたい方はまず自分で調べてみるのが大切だと思います。
自分の記憶に残らなければ、学生を納得させる説明ができませんから。
なので、あえてこちらで違いは書きません😅
違いなどが気になる方は、ぜひご自身で文法書をあたってみてください(ネットにも落ちてるかと)
こういうときのために、やっぱり文法書って大事ですね!!😅
二冊ぐらいあったほうが、自分が知りたい情報が網羅され、比較もできるかと思います!
困った項目その③:教科書体とPCフォント
ゼロ初級を教える際、「ひらがな」から担当することが多いです。
みなさんはパワーポイントやkeynoteでスライドを作っていらしゃいますか?
パワポやkyenoteは教科書体があるので、問題にならないかと思います。
しかし、Googleスライドでスライドを使う時は「フォント」がちょっと曲者になります!(2023年12月現在では)
私は日本語教師になった2015年からGoogleスライドを使用して授業スライドを作っていました!
というのも、当時Googleスライドをいくら作成してもGoogleDriveでほどんする時に容量を消費しなかったからです。
当時勤めていた日本語学校のITに詳しい非常勤の先生に「これからの時代はGoogle ドライブだ!」と言われ私は結構早い段階から授業準備をGoogleDriveで集約できるようにしていました。
しかし!これには盲点がありました……
そう……日本語の「フォント」問題です……
Googleの書体にはまだ教科書体はないので、特に「さ」「き」は、このブログ記事のように一筆書きできるような感じでつながっています。
「ひらがな」にまだ慣れていない学生は、初めにこのフォントでひらがなを教えてしまうと手書きも一筆書きの「さ」「き」になる傾向がありました(こちらからフォントの説明しない場合)。
今の時代、手書きする機会は減ってきているので、「読めればいい」「手書き不要」ならあまり気にすることはないかもしれません。
でも、大学進学や日本で就職がしたい人、日本に住む予定の人はやっぱり手書きをする機会はまだあるので(例えば、個人情報のフォームや大学の試験など)、個人的には最初から教科書体のほうで書けるように指導したほうがいいと思っています。
一筆書き「さ」でも読めるからいいとは思うのですが、なんかやっぱり子どもっぽい印象を受けるのは私だけでしょうか?
ちゃんとした書類は教科書体の「さ」で書いたほうが、将来、学生自身に不利益がない気がします。(印象の問題ですね)
一度染み付いたものはなかなか直せないので、私は「ひらがな」を導入する際、
「PCフォントでは一筆書き「さ」があります。でも、手書きは教科書体「さ」で練習しましょう!」
と、両方のフォントを一緒に見せて説明します。
知ってるのと知らないのではやっぱり違うと思うので、割と早めに伝えていますよ。
この「フォント」問題もGoogleスライドに教科書体が搭載されるようになったら関係なくなるかと思いますが、今後も学生は日常生活ではよく見かけると思います(笑)😅
余談ですが、私はGoogleに「教科書体」を入れてほしい!と要望メールを出したことがありますww
困った項目その④:普通形の「〜なかった」の呼び名
みなさんは、普通形の「〜なかった」の形は何と呼んでいますか?
「食べる」は「辞書形」、「食べない」は「ない形」、「食べた」は「た形」と呼ぶことがありますが、最後の「食べなかった」は???
大抵、「食べなかった」は普通形を導入するときに出てくるので、もう4つを「普通形(Plain Form)」とし、「食べなかった」の形の名前は割と教科書でもスルーされている。。。
しかし!私としては便宜上何か名前がないと引き継ぎを書く時とか、学生に活用を説明する時に困ります😓
で、とりあえず私は「なかった形(なかったform)」と呼んでいます(笑)
引き継ぎでも便宜上この言葉を使っています(笑)
伝わっているから「よし!」と思う一方で、みなさんは何と呼んでいるのか気になります!!
ちなみに、げんきの教科書では普通形(Plain Form)は「Short Forms」とされ、「なかった形」は「Short forms , Past, negative」と記載されてます。
こういう部分も統一してもらえると教える方は楽なのになぁ……なんて思う今日この頃です。
こういう部分も教科書分析するときにチェックするといいと思います。
まとめ
今回は雑談的な内容として、私が初級を教えるときに混乱する項目を紹介しました。
みなさんは経験がありましたでしょうか?
これから教える方はぜひ「こういうことがあるんだ〜!気をつけよ!」と私の反面教師になってくださいね(笑)
私は今でも失敗から、そして学生の質問から学ぶことが多いです。
個人的には、活用の呼び名は、教科書間で統一してほしいなと(笑)(「なかった」の形、意志形/意向形、条件形/ば形)
中級以降になると頻繁に使用することになるので……(特にJLPT対策授業とか)。
みなさんは、この記事以外に悩ましい項目がありますか?
コメント欄にお知らせいただけるとうれしいです😄
もしよければ、気ままに日本語教師体験を書いているnoteもお読みください。
こんな記事を最後までお読みくださりありがとうございました!😁
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