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【日本語教師】上級学習者の日本語の授業ってなにしてるんですか?〜私の実践を紹介します〜

日本語の教え方

私は上級のクラスを担当しているのですが、正直これでいいのか迷っています。さじここさんは上級の学生にどんなことを教えていますか?

さじここ
さじここ

そうですね、ちょっと私の担当している授業は特殊なんですが、その一部をシェアしますね!

こんにちは、日本語教師のさじここです。

私は現在、複数の大学で勤務&italkiのプライベートレッスンで、本当にいろんなレベルの学生を担当しています。

ゼロ初級〜超上級まで(笑)

超上級というのは、私の勤務する大学の留学生センターのプレースメントテストで一番上のクラスにあたり、もちろんJLPTのN1はみんな持っているレベルです(大学では別の呼び名で呼んでいますがここでは便宜上「超上級」と呼んでいます)。

そのレベルの学生に向けて私は専門的な日本語を学ぶ講義を担当しています。

私は初めて超上級の学生を担当することになった去年の秋、マジびびってました。

超上級なんてほとんどネイティブと変わらない流暢な日本語を話し、論文も日本語で読むことができるんですから、「私……何を教えればいいのでしょうか?」という状態になりました😅

そんな私のように担当が変わって上級を教えることになった方のために、今回は上級授業の教え方について私の経験をシェアしたいと思います!

この記事が参考になりそうな人
  • 上級クラスを担当している人
  • 上級の授業がうまくいかない……と悩んでいる人
  • 上級授業をこれから担当したい!どうやっているのか知りたい人

ここに書いてあることの多くは私の日本語教育の師匠から教わったことです。

個人の経験をもとに書いていますので、これが絶対正しいとか、この通り教えるべきだ!というようなものではありません。

ほんと、参考までに……という感じです……

さらっとお読みいただいて、こんな感じなんだ〜へ〜と思っていただけるなら幸いです😅

上級レベルの教材は何を使っているの?

勤務先の講師室には大きな本棚があって、そこの日本語教育関連本がぎっしり置いてあります✨✨

教科書や副教材など潤沢に揃っている印象です(あんまり整理されていないけど……笑)

本屋ではなかなか出会えないような専門書も、もちろんあります!😄

専門書は買うと高いので、もうこの空間は天国ですね〜〜✨

ちなみに、非常勤講師でも学内図書館利用はできますから、そちらに置いてある日本語教育関連本は借りることが可能ですよ。

私の授業前の癒しは、その本棚を眺めて立ち読みすることなんですが、ふと……

「上級向けの教材って少なくない!?ってか、ほとんどない!?🤔」

ということに気がつきました。

みなさんの勤め先には上級向けの教材がありますか?

おそらく初級に比べて少ないんじゃないかと……

で、他の先生とその話題になったときに

「上級までいくと、生教材使うからじゃない?教科書にするとすぐ情報古くなるからさ〜」

という意見が!

「確かに!!」と思いました!!😳

実際、私が担当している授業も新聞を生教材として使っています。

他の上級の授業もまた「ニュース」や「プレゼン」に特化している感じです。

日本の文学作品を読むという読解の授業もあります。

例えば、夏目漱石や川端康成など……

大学ならではの授業は「論文を書くためのアカデミック・ライティング」でしょうか。

勤務大学では修士取得のためには論文執筆しなければならないので、日本語での論文の書き方の授業があります。

留学生からの話では、実際に論文を書いてみたり、引用の仕方や研究背景、データの記載の仕方などを練習するそうです。

これは、私が大学院在学時に取った授業と似ています。

これに関しては、以下のような論文の書き方のテキストを用いているかと思います。

こちら『留学生の日本語 論文作成編』↓はちょうど講師室にあって、「私がアカデミックライティング指導するならほしい!」と思った本です。

研究計画書を指導している日本語教師の方にお勧めです。

論文特有の言い回し表現がまとまっていますし、章ごとに段階的に学ぶことができますよ。

大学院を目指して研究計画書をこれから書く予定の日本人にとってもいい教材だと思います😊

ということで、このブログで紹介できそうな上級向けの教材何かないかな〜と探しましたが、あまりありませんでした😓

いろんな先生に話を聞いてみたのですが、上級レベルになるとそれぞれの先生が自分のオリジナル教材を作成したり、学生がプレゼンしたりしているとのことでした。

私が教えている上級レベルの留学生について

この記事で話しているのは、大学の学部・大学院の留学生になります。

私が担当している上級レベルの留学生のほとんどは交換留学生ではなく正規の学部生です。

日本語で専門分野の授業を受けて単位を取得しています。

修士課程の学生ももちろんいます。

先述したように、プレースメントテストで上級判定、もしくは学部の留学生入試を突破した人なら受けられる「上級レベル」の1コマを私が担当しています。

ここまでくるともう日本語ネイティブ並みに話せて書ける人たちです。

日本語の論文も普通に読めて、レポートも日本語で書けてしまう人たち……

というか読めないと授業についていけない、卒論・修論書いて卒業できませんからそりゃそうなんですが…😅(もちろんN1保持している人が大半)

国籍でいうと、私の大学の上級レベルは中国・韓国の漢字圏の学生がほとんどです(これは他の大学などでも当てはまる気がします)。

学生からたまに質問メールをもらうのですが、まあメールの書式もしっかりしていて、私が大学生だったころよりもちゃんとしている気が……(笑)

上級レベルの学生がどんな感じか少し想像できましたかね?

個人的には日本人学生の授業と雰囲気はあまり変わらない気がします。

そんな上級レベルの留学生に授業をするとしたら、みなさんはどんな授業をしますか?😙

上級レベルの学生の苦手・弱みについて

教えることが見当たらないと一見感じる上級レベルの学生でも、苦手(弱み)はあります!

私が感じる彼らの苦手……それは「言葉のニュアンス」「漢字の読み」

あくまでこれは私が授業している中で感じていることですが、やっぱり日本語ネイティブではないので日本語の「言葉のニュアンス」は難しいようです。

私自身英語を勉強していて、細かい言葉のニュアンスを自然に文脈から読み取れる力は大人になると自然には身につかないと感じています😅

私が教えている超上級レベルの学生は、「文法」よりも「語彙」に対しての知識をもっと身につけたいと授業前のアンケートに書いていました。

たとえば……

「自分の意見を伝えるときに日本語の微妙なニュアンスがわからなくて、言葉選びが困る」とか、

「言葉のニュアンスの違いによってミスコミュニケーションが発生してしまう」とか……

会話にしろ、論文新聞などの読み物にしろ、相手のメッセージを読み取るには「言葉のニュアンス」を読み取る「語感」を育てていく必要があります。

生まれた時から日本に住み、幼い頃から日本語を母語とする人は自然と日本語の「語感」を持っているそうです。

(留学生は母語に関するの「語感」は持っている)

だから、わざわざ意味を辞書で調べなくても、文脈や日常会話、自分の経験などから語彙のもつニュアンスを獲得し、評論や新聞を読んでも、「あ〜この筆者は批判しているな……」とか「あ〜結局この人は反対の意見をいいたくて書いてるんだ」とか読みながらなんとなく想像することができるかと……

しかし、日本語を母語としない留学生にはそれが難しいそうです

たとえば、私は授業で「「汗を拭(ぬぐ)う」という言葉はどういう意味?」と尋ねたことがあります。

みなさんはこの「汗を拭う」を聞いて、どんな光景を思い浮かべますか?

きっと、真夏の甲子園のピッチャーとか、夏のオリンピックとか、そういう状況を思い浮かべたのではないでしょうか?

留学生は「汗を拭く」と同じだと答えました。

この2つは同じではないですよね?

「汗を拭う」のように、日本語母語話者(日本語ネイティブ)の人だと、頭に浮かんでくる光景や言葉のニュアンスがあると思います。

でも、言葉の持つニュアンスや使用場面は上級レベルであっても難しく、教える必要があります。

ただ単に「語彙力の問題では?」ともなりそうですが、彼らは「聞いたことはあるんだけど、ぼんやりとしかわからない」「読解では問題なさそうだけど使用場面がピンとこないから会話などアウトプットはできない」と言っています。

もう一つの弱みは「漢字の読み」です。

私が担当している上級以上の学生の多くは漢字圏なので、漢語のほうが和語よりも意味が推測しやすい。

でも、読みは苦手……😅

声を出して読む機会なんてそうそうないからか、読ませてみると結構、熟語が読めない……😱

中間期末でも読みのテスト問題を少し出しているのですが、全問正解をする人は少ないです(授業で取り上げているのにも関わらず……😰)。

学生アンケートからも、「発音を強化してほしい」と書いてあったり、学生自身もしっかり読めるようになりたいという気持ちがあるようです。

今はGoogle翻訳など読み上げてくれるソフトがたくさんありますが、本当にその読み方が正しいかはわからないので、やっぱりそういう「読み」は授業で取り扱う必要があると感じます。

上級レベルの学生が喜ぶ授業とは?

以上の2点言葉のニュアンス」と「漢字の読み」を取り上げるときっと学生は喜びます!

私は特にこの2つを意識しながら授業をしたところ、学生の言葉に対する意識の変化が見られ自ら言葉のニュアンスの違いや発音をしっかり考えてくるようになりました✨😆

でも学生に教えるためには日本語教師側がしっかりその「言葉のニュアンス」を感じ取り、違いを説明できるのかが重要になってきます。

例えば、最近授業で扱ったのは「来年の経済の予想」と「来年の経済の見通し」です。

皆さんはこの2つの言葉の違いを説明できますか?

類義語辞典や国語辞典を調べると出てくるかもしれませんね。

でも使い方の違いまでは詳しく載っていなかったりするので、分析が必要です。

「薔薇色の人生」とか、「切羽詰まる」などもやりましたよ😄

私の尊敬する先生の言葉に

「完全に同じ意味を持つ言葉は2つもいらないから、全く意味が一緒だったらどちらかは淘汰される。つまり、2つ存在しているということなら、必ず違いがあるはずだ」

というのがあります。

この受け売りの言葉を借りながら、私は授業で実際に学生に時間を与えて「あ〜でもない、こ〜でもない」と言いながら話し合ってもらっています😊

文法の違いをJLPTの試験対策で熟知している超上級の学生も唸りながら悩んでいます(笑)

ちなみに、私の授業では「文明の力(Google先生やChat GPTなど)」を積極的に使ってもいいことにしていますよ。

「文明の力を利用してもわからない!!あてにならない」といいながら、辞書を使っている姿が面白いです。

「言葉の持つニュアンス」を一緒に考える授業はおすすめです!😊

また、漢語よりも和語の方が学生はあまり理解できていない傾向がありますので、取り上げる言葉の参考にしてみてください。

こういう授業をするときにこういう書籍も参考にするといいかもしれません!

こちらの本は、「マンガ」で似ている表現のの違い、使用場面、言葉のニュアンスの違いが分かりやすく解説しています!

先述しましたが上級テキストって、あんまりなく、結構内容も堅苦しい……(笑)

日本人でもなかなか説明できない表現の使い分けが爽快に説明されていて、私が読んでいても面白いですし、とても勉強になります。

学生がこのテキストを使って独学で勉強することもできると思いますよ😀

解説部分を読むと、類義語の説明ポイントが掴めるようになるかも?!😆

ただ、扱っている内容はN3~N1までなので、上級のものだけというわけではないです。

Amazonには試し読みができるので、ぜひ興味がある方は見てみてください♪

二つ目の「漢字の読み」については、私は学生に一つの段落を声に出してみんなの前で読ませています

自信がないとモゴモゴするので、それも指摘しています。

学生の中には、相手に伝わるようにはっきり話すことが苦手な学生も……😅

しかし、就職活動のためだ!と言いながらやってもらっています。

就職しても資料をみんなの前で読み上げることは多々ありますし、プレゼンする機会もでてくるでしょう。

そのときに簡単な熟語が読めないと学生自身恥ずかしい思いをするので、今間違えておいたほうがお得よ!と言い聞かせています(笑)

また、滑舌の問題や母語の影響で「はっきり」聞こえないことも多いです。

促音や長音が苦手という学生は上級でもいますので、それも含めてチェックしてあげるといいと思います。

発音を直したりできるのは授業中だけですから、まあ腹の内ではどう思っているか知りませんが、みんな真剣にやってくれます(笑)

まとめ

上級レベルの学生のニーズや上級の授業の雰囲気がなんとなく伝わりましたでしょうか?

あくまでこちらは私の担当している学生からの意見や私個人の主観ですので、これが全てではないですよ。

(私の授業も専門科目なので、教えている内容もちょっと特殊です)

私は日本語教師になったら初級〜上級まで教えられるようになりたいと思っていました✨

新米の頃は初級しか担当させてもらえなかったので、中級以上を担当する機会は巡ってこず……(笑)

日本語学校にいたときは、教務主任に掛け合って他のレベルを担当させてもらえるようにしていたことを今思い出しました(笑)😅

すごいチャレンジャーでしたね……私……

初級には初級の、中級には中級の、上級には上級の教える大変さがあることが今ならわかります。

上級を教えるようになったからこそ、初級で押さえておいたほうがいいポイントがわかるようになった気がします。

余談ですが、個人的には授業準備は一番「初級」が大変です(笑)

でも、初級の授業準備には全ての要素が詰まっているので、初級を教えることは一度は経験したほうが日本語教師として成長できると私は思いますよ😊

偉そうなことを言っている私もまだまだですので、日々精進しなければです😅

この記事が皆様の授業のお役に立ったら幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました!😆

ブログでは書ききれなかったことや私の近況についてはnoteにときどき書いています。

noteもよろしくお願いします↓

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