
読解の授業を担当していますが、文法の授業よりどうやって進めていけばいいか困っています。学生もつまらなさそうにしてて、どうしたらいいでしょうか?

私もじつは「読解授業」苦手です。色々試行錯誤してる最中ですが、その中から実践しているいくつかをお伝えしますね!
こんにちは、日本語教師のさじここです。
突然ですが、みなさんは「読解の授業」は得意ですか?
私は文法や漢字授業より苦手です(笑)
日本語学校に勤めていたとき、曜日で「聴解」「読解」が割り振られていたのですが、いつも苦手の読解に当たっていて撃沈していました……😅
なので、新人の頃は特にいろんな教え方の本を漁ったり、他の先生がどうやっているか聞いてみたり…情報をとにかく集めて試行錯誤の連続です(現在もですが)。
同じように悩んでいる方がいらっしゃるかもしれないと思い、今回は「うまくいかないと感じる」ポイントを整理しながら、私がやっている読解の授業のいくつかを紹介してみたいと思います。
- 初級〜中級の読解を担当している人
- 読解の授業がしっくりきていない人
- 読解の使用教材のレパートリを増やしたい、おすすめのテキストが知りたい人
この記事は、クラス授業やプライベートで「初級〜中級の学習者」に読解を教えている人向けです。
(上級や JLPT対策の読解授業向けではあまりないかと思います😅)
そして、45分ぐらいのまとまった時間を想定した授業内容になります。
以上を踏まえてお読みいただけると幸いです。
※ブログはAmazonアフィリエイトに参加していますが、記事で紹介している書籍については私が使用したりして選んだものであり、出版社等からの依頼はありません
読解授業がうまくいかないと感じる理由
私の経験を踏まえて、読解授業がうまくいかないと感じる理由を以下に整理してみました。
- 読解授業自体の教育や、研修をあまり受けたことがない
- 学習者のレベル差によってクラスをコントロールしにくい
- 読解には「語彙」「文法」「漢字」などの絡み合うので説明ばかりになってしまいがち
- そもそも読解の内容が「つまらない」「世の流れとかけ離れている」「興味がない」などで学習者の興味を引くことができない
順番にみていきたいと思います😃
理由1:読解授業自体の教育や、研修をあまり受けたことがない

「読解をよろしくね!」と言われたとき、「読解ってどうしたらいいんですか?!」と焦った経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?(笑)😅
現在はどうかわかりませんが、私が養成講座を受講したかれこれ10年以上前はあまり読解について教育を受けておらず、
「読解1コマ45分何したらいいんですか?!読解の文を読ませて問題解かせて終わりですか?!」
って思わず、教務主任に聞いてしまいました(笑)
それと同時に、「実際働いた日本語学校では文法の教え方(流れ)の研修はあったのに、読解の授業のやり方について説明がないのはなぜ??」と疑問に思いました。
読解テキストはこんな感じ↓の流れで作られている場合が多いです。
- 導入(読む前に書いてあるテーマ内容を予測するタスク)
- 語彙(新出語彙の導入)
- 大意把握(実際一人で読んでみる、スキミング)
- 情報探し(スキャミング)→設問を解く
- 読んだあとのタスク
大抵テキストの最初のページの「本書の使い方」にこう言った流れのやり方が書いてあるはずので、まず読むことをお勧めします。
それでもちょっと知識が足りなくて不安だな……という方、読解についての全般知識を深めたい方は国際交流基金が作成している「読解の教え方」の動画↓がおすすめです!
⭐️国際交流基金「読解の教え方」→https://www.jpf.go.jp/j/urawa/j_rsorcs/methods/reading.html
初級〜中級レベルの読解授業の進め方についての動画になります。
読解と一口で言ってもいろんな読解があって、「ポスター/チラシ」「メール」「看板/標識」「契約書」「小説」「論文」「公的な文書のお知らせ」など、日常生活にあふれています。
「何を学習者に読ませるのか?」によって、授業のやり方が変わります。
読解は奥深いということが動画を見ていただくとよくわかると!!
ぶっちゃけ、この動画を見ていただいたら、私の記事を読まなくてもいいかもしれません(笑)😅
本でもうちょっと軽めに知りたいという方にはこちらの本↓がおすすめです。
「どう教える?日本語教育「読解・会話・作文・聴解」の授業」望月 雅美(著)
※タイトルをクリックするとAmazonサイトに移動します。Amazonサイトで少しサンプルを見ることもできます
「読解授業自体の教育や、研修をあまり受けたことがない!」と悩んでいる方は、まず、これらの動画や本から、「読解授業」への知識を補完してみてくださいね😀
理由2:学習者のレベル差によってクラスをコントロールしにくい

読解授業は「学習者のレベル差」が出やすいので、
- 早く読み終わる学習者と、全然読めない学習者がいる
- 読めない学習者が途中で諦めてしまう
- できる学習者だけが発言する
のようなことがよく起こります😓
語彙・文法・漢字・背景知識が同時に必要になるため、「差」が表に出やすい……
文法だけを取り出すとできる学習者もいろんな文法が散りばめられた文章だと意外と読めていなかったり、話すのは上手な学習者も漢字をあまり覚えていなくて振り仮名がない漢字語彙を読めなかったり……🌀
レベル差が大きくなればなるほど、時間管理や進め方も一筋縄ではいきません。
私が担当している中級クラスは交換留学生で、初級後半〜N2取得している人が同じ教室で学びます。
もちろん母国での日本語教育を受けている人もいれば、全く独学で頑張ってきた人もいるので、漢字があまりわからない人もいますし、すごく読むのに時間がかかってしまう人ももちろんいます。
なので、毎回私は、
- 一人で読む時間をなるべく長く与える
- 設問まで自分で解けた人同士ペアにして答え合わせをし、追加タスクを与える
- 読むのが難しそうな人へのサポートに入る
ことを自分の中でまず決めて「読解授業」を行います。
一人で読む時間は読む内容や量にもよりますが、A4半分ぐらいの記事で15分ぐらいは与えて、まだ読めていない人がいたら延長する方式でやっています。
読むのが得意な人は5分程度で読んでしまうので、そういう人同士で答え合わせをやってもらったり、追加で質問を与えたりして暇にならないように目配せします。
この辺りは以前紹介したこちらの記事の方法↓と同じです。
読解授業こそ、手持ち無沙汰になる人が続出しやすいので、できる学生こそ目を光らせる必要がありますよ(笑)
追加タスクとしては、「わからない言葉を日本語で説明できる?」とか、「今日勉強した文法はいくつ使われているか?」みたいなクイズを出しています😀
レベルが高い学習者だと「段落ごとに要約をノートに書かせる」こともします。
このように読解授業を組み立てるときに、いくつか追加タスクを準備しておくのがおすすめです!
できない学習者には巡回しながら声掛けをしたりします。
語彙がわからくてつまづいている場合は、「スマホで調べていいよ」と声かけします。
読解授業は試験ではないので私は「辞書ツールを使ってでもなるべく自分で本文の内容をざっくり把握してもらうこと」を第一に考えています。
また、「一人で全ての文を理解できなくてもOK」ということも学習者に伝えています。
これは授業の目標をどこに置くかによります。
学習者自身が「完璧に読めなければならない」という気持ちになってしまうと、わからない言葉や文に出会ったらそこでフリーズしてしまいます……😣
皆さんも英語の授業とかで同じ経験はありませんか?
なので、私は「わからない時は飛ばしてもいい、次の段落で内容がわかるかもしれないからとりあえず最後まで読み進めよう!」と伝えるようにしています。
「クラスの半分以上が全然最後まで読めていない……設問に辿り着けていない……」ときもしばしばあります🤣
そういう時は、さっさと一人で読む時間を切り上げて、全体で一緒に確認します。
わからないことをいつまでもやらされると人はストレスを感じますから、活動を切り替えた方がいいです。
こういう時は必ず全員で「音読練習」をします。
あくまで個人的見解ですが、読めていない人、語彙の区切りがわかっていなかったり、ただしく漢字やひらがなを読めていない傾向があります。
特に初級はひらがなが多いため、スペースがないと日本人でも読みにくい。
中級は初級の漢字には振り仮名が振られていない場合が増えるので、漢字が苦手な人は読み方がそもそもわからない。
ということで、私は積極的に「音読」をクラスでやるようにしています。
声に出して読むことで文字が音になり、意味を認識しやすくもなるかと。
特に音から情報を得るのが得意な学習者(聴覚重視の人)にとっても効果的ですし、読むのが遅い人の読むスピードを上げる練習にもなります。
以上をまとめると以下の通りです。
- 全体で音読をする(本文が長い、難しい場合は段落に分けて音読)
- 段落ごとに「何かキーワードがないか」「どんな話だったか」「登場人物はだれか?」など簡単な質問を学習者に投げかける
- 文法や語彙のポイントを確認する
- 設問の答え合わせ(段落ごとの確認のときにやってもOK)
- 本文を読んだ感想をペアで話してもらったり、全体で聞いてみたりする
ここまでは皆さんもやっていらっしゃることとあまり変わらないかと思います。
多分一番のポイントは3つめに書いた「文法や語彙のポイントを確認する」部分にあるのではないかと思います。
理由3:読解は「語彙」「文法」「漢字」などの絡み合うので説明ばかりになってしまいがち

先述しているように、読解は複数の技能が絡み合ってきます。
そしてレベル差もあるので、どうしても「説明しがち」の授業に……😭
でも、語彙がわからない、一人で読めない学生がいるから説明は必要だし……
このループに陥ってしまう方は結構いらっしゃるのかなと思います。
先日お話しした方も同じことで悩んでいらっしゃいました。
私がその方にしたアドバイスは「説明しない勇気を持つこと!」それのみです。
私は読解の全体の内容確認はしますが、求められない限りは全てを解説したりしません。
反対に学習者に「解説してほしい語彙、文法はあるか?」と尋ねます。
そうすると一人、二人ぐらい「この語彙はどういうことなのか?」「別のところで使われていた使い方じゃない気がする」みたいな質問をしてくれます。
そこを私は解説していく……というスタイルでやっています。
とはいえ、初級ではなかなか質問することが難しいので、今で勉強した文法の活用の確認を口頭で質問したり、語彙や漢字の小ネタを伝えたりしています。
読解で一番教えていることは「語彙」その中でも「副詞」について取り上げています。
特に文法の時間にはあまり取り上げられない「副詞」ですが、中級以上になると意味、使い方、バリエーションが重要になってきます。
副詞が一つ違うだけで意味が全然変わってしまう……つまり読解のポイントになるということを確認しています。
この間は中級クラスで「日本の子どもがどんどん減る。」「日本の子どもがだんだん減る。」の違いがわかっていなかった!ということがありました。
読解の本文は文脈があるのでこういうものを教えるときに役立ち、学習者も理解しやすいです(グラフや数字があったり、社会情勢が書いてあったりするので)。
とはいえ、全部の副詞や文法を解説していません。
自分で四つぐらいこれは確認しておきたい語彙と文法にチェックを入れて、あとは学習者の反応次第としています。
「学習者から何を聞かれるのか怖い……」「答えられなかったらどうするの?」
そんな質問が来そうなのでお伝えしておくと、読解の授業をやるために予習し自分自身のカンペはかなず作成します。
たとえばこんな感じです↓(汚くてすみませんww)

授業では精読はしないのですが、自分自身ではしておいて、質問があっても答えられるように準備します。
私的には文法の授業準備より読解の方が疲れます😓
いざという時の説明用の例文や、類義語で一緒に覚えさせたいものなど、いろいろ書き込みます。
でも授業で使用する情報は多分30%ぐらい(笑)
あとは自分のためにやっているという感じですね……ww
「こんなに予習したのに、使わない部分があるのはもったいない!」と思われるかもしれませんが、使わない方がいいのです。
使わなくても学習者がわかっている方がベストだと思いますし、情報を与えすぎるとかえって混乱しますので、「準備したものをやらない勇気」が授業をする上で大切だと私は感じます。
これは読解に限らず、文法の授業でも言えるかと。
また、自分で調べたり捻り出した例文は別の場所でも使うことができる知識になるので決して無駄にはならないので!!😚
余談ですが、副詞を教えるときはイメージで教えると学習者の理解が進む場合があります。
副詞の教え方があまりよくわからない方は以下の書籍↓がおすすめです😀
「イメージでわかる!日本語の副詞(初級・中級)」朴 秀娟(著)
学習者が混乱する副詞を取り上げて絵や図で解説してくれている本です😀
副詞がもつニュアンスの違いなどを学習者に教えるときに役に立つ一冊です!
新人日本語教師の方は文法書と合わせて、こういう本を一冊持っておくといろんな場面で便利かと。
理由4:学習者が読解本文の内容に興味関心がない

読解授業で扱う内容に関して、学習者全員が興味があるトピックかというとそうでない場合もあると思います。
興味がないことに興味を持たせるのは大変ですよね?😞
日本語学校等によって提供されいる読解教材が古くて今の時代にあっていない……なんてこともあるかもしれません。
組織によってはもう教材進度が決まってしまっているので、難しいかもしれませんが、たまに「チラシ」「ポスター」などのレアリアを用いた読解授業を入れてあげると結構盛り上がったりします。
以前やった活動は「日常で配られる宅配ピザのチラシやファストフードのクーポンが読める」ことを目標に、チラシをレアリアにしてどんなことが書いてあるのか、どの商品が食べたいのか、お得な方法は何かなどグループで情報を話し合った活動です。
初級だと教師が手を加えないと厳しいかもしれませんが、中級以上は積極的にレアリア(生教材)を使用していって実生活と結びつけた方が、文法を理解したり語彙を広げるのに役立ちます。
また、N2以上になると日常会話ではあまり使用されない固い表現(書き言葉、ビジネスフレーズ等)が多いですよね?
公的なお知らせなど見せてあげると固い表現がたくさん出てきますので、「こうやって書いてあるんだ!なるほど」「市からのお知らせの重要な内容が読めた!」という「できる」に繋がりやすくなります。
ただ、レアリア(生教材)の選び方はちょっと難しい……と感じる方も多いと思うので、レベルに合った面白い読解教材(テキスト)を紹介したいと思います。
読解おすすめテキスト
⭐️「初級からはじめる読解120」ヒューマンアカデミー日本語学校(著)
- 「つなぐ日本語初級」の教科書に準拠している
- 1日10分で読める内容
- 音声もあるので、聴解教材にもなる
- 使用文型・ことば・表現リストが巻末についているので、学習者のレベルに合わせたものを選ぶことができる
- SNSの記事や、ポスターの情報取りや天気予報など面白い情報取りの練習がある
こちらのテキストは実際に大学の初級のクラスでときどき使用しています。
10分でささっとできるので、時間が余りそうな日にやっています。
教科書は「つなぐ日本語初級」を使っていませんが、巻末に使用文型などのリストがあるので、既習文型の部分を取り出すことが可能です。
このテキストは初級前半〜後半向けです。
⭐️「話す・書くにつながる! 日本語読解 初中級」 小野 恵久子ほか(著)
- いろんな分野のトピックがある
- 最初に話す活動、最後に書く活動があり、自分の意見をまとめる練習にもなる
- 難易度が★印で示されているのでわかりやすい
- 初中級、中級、中上級までシリーズ化されている
- 語彙を学ぶためのイラスト付きクイズもあったりする
こちらの本は、隙間時間に読んでみよう!という感じのものではなく、1コマがっつり読解を担当する方向けです。
単に読んで設問を解いて終わり!という感じではなく、ちゃんと設定された目標があり、読んだ後も自分の意見を書いたり、自己紹介文につなげたりするような作りになっていますので面白いですよ😀
内容確認の設問はマルバツ形式や適切なものを選ぶ選択方式ではなく、自分で考えて表にまとめたり、文を書くものがほとんどなので、難易度はちょっと高いかもしれません😅
まとめ

いかがでしたか?
今回は読解について取り上げてみました。
私が担当している読解授業はは文法の授業に比べて自由度が高いので、結構いろんな教材を使用したり、活動を入れたりでき、慣れてくればとても楽しいです😄
私は「ガチガチにやり方が決まっている」組織よりも「決められた中なら自由にやってもいいよ」という組織のほうが性に合っているからかもしれませんが……(笑)😅
italkiプライベートレッスンでも、JLPT試験間近になると「読解が苦手」「読むのが遅くて全部読み終わらない」という学習者さんから予約が入り、何人も担当してきました。
つまり、読解って学習者にとっても「苦手意識ある科目」になっている場合もあるので、読解授業を極めることができたら、教師としての活躍の場が広がると思います!!
この記事が少しでも皆さんの読解の授業のヒントになったら幸いです。
ブログでは真面目な話しか書いていませんが、noteの方ではブログの更新情報とともに近況報告や私のどうでもいい日本語教師の小ネタなどを書いています。
こちらもぜひフォローいただけるとうれしいです😃
最後までお読みいただきありがとうございました😄




コメント