中級以上の授業準備で役立つツールってありませんか?結構補助教材的な自作プリントとか作るのが大変で……
私がよく使っている便利な無料サイトをシェアしますね。
こんにちは。日本語教師のさじここです。
この記事は、前回の「中級以上の語彙の教え方&役立つ無料サイトなど」の後編になります!
前編の方をまだお読みで無い場合は、先にそちらを読んでいただいてからこちらに戻ってきたほうがわかりやすかと思います。
それでは早速続きへ♪
語彙の教え方で役立つ無料サイト
私が中級、上級の授業準備でよく使う無料サイトをシェアしたいと思います!
無料なのでぜひみなさん活用してみてください♪
もちろん初級でも活用できるかと思います😊
その①:基本動詞ハンドブック
動詞の教え方を前編で述べましたが、似たような意味(類義語)の動詞の違いを教える時に役立つサイト(無料)がありますよ♪
それは……国立国語研究所の「基本動詞ハンドブック(https://verbhandbook.ninjal.ac.jp/)」↓です!!
写真は筆者撮影:国立国語研究所「基本動詞ハンドブック」〈https://verbhandbook.ninjal.ac.jp/〉(2023.8.10アクセス〉
「基本動詞ハンドブックって何?」って思った方もいらっしゃると思うので、TOPページの引用文を掲載します。
基本動詞ハンドブックは、日本語学習者・日本語教師が基本動詞の理解を深めることができるように、このような基本動詞の多義的な意味の広がりを図解なども用いて分かりやすく解説したオンラインツールです。また、例文、コロケーションなどの執筆には、国語研の「現代日本語書き言葉均衡コーパス(BCCWJ)」(約1億語)や筑波大学の「筑波ウェブコーパス」(約11億語)などの、大規模日本語コーパスを積極的に活用し、他のレファレンスには見られない生きた情報を提供しています。
引用:「基本動詞ハンドブッ」TOPページ https://verbhandbook.ninjal.ac.jp/ (2023.8.10閲覧)
私なりに「基本動詞ハンドブック」の特徴をまとめてみました↓
なぜこれが無料なのか!?有料級の情報量です!😳
個人的にお金払ってもいいと思いました。
そして日本語研究プロフェッショナルの先生方が作成されているものなので安心🥺
私が一番助かっているので、その動詞が「使用できない文」も例文まで載っていることです。
辞書は使用する場面の例文しかありませんよね?
私が教える時に必要だと思うのが「非文(使用すると変な感じになるもの)」です!
だって使用できる文とできない文を比較しないと学生がピンとこないですから……
それを探し当てるのにめちゃくちゃ時間がかかっている私は、この「基本動詞ハンドブック」の存在をしって衝撃をうけましたよ!!
私が探している、知りたい情報がほぼのっているので時短になっています。
また、学習者さんにとっても便利なサイトです。
初級にはちょっと難しいと思いますが、中級後半〜上級レベルの方だったら、辞書のように使用できると思います。
自分で語彙のコアイメージを広げられると、新規語彙を覚える足がかりになりますね。
余談ですが、私は英語の単語を覚える時に語彙のコアイメージを調べて記憶定着に役立てています。
ちょっとサイトを覗いてみましょう!(以下の画像は筆者がスクショを撮ったもので、全て国立国語研究所の基本動詞ハンドブックから引用です)
TOPページの右上の「ハンドブックで調べる」をクリックすると……↓
検索画面に移動します。
検索方法は「全見出し(画像のもの)」「50音順」「意味別」の3つがあります。
シンプルな作りなので検索しやすいです!
この画像からわかるように、「音声マーク」も結構ついているので、発音を確認したい時にも便利ですね。
試しに、一番上の「合う」をクリックしてみます↓
実際に操作されるとよくわかると思いますが、一つの動詞に対してめちゃくちゃ丁寧に解説されています。
ページをスクロールしても、まだ情報がある!なにこれ、すごすぎる!
特徴のまとめにも書きましたが、文法で使用できるもの(受身、尊敬、意志など)載っているのはありがたいですよね。
これはJLPT対策にもつながるかと……
興味がある方はぜひサイトを見てみてくださいね!
何度も言います!無料です!!
その②:国立国語研究所 コーパス検索アプリケーション
こちらも国立国語研究所で開発されたアプリケーションになります。
私はよくこちらのサイトで語彙の使用パターンや、例文アイディアを得ています!
自分の頭だけで例文を捻り出すのは限界がありますから、文明の力を借りています(笑)
コーパスに関しては、今までの記事で何度か紹介していると思うので、ご存じの方もいらっしゃるかと。
余談ですが、これから大学院に進学希望の方は、知っておいたほうがいいかと思います。
ご自身の研究の調査に、もしかしたら役立つかも。
国立国語研究所(以下、国研)では、書き言葉だけでなく話し言葉のコーパスも開発されています。
すごいですよね!
そして、なんと!自分で収集しなくても大規模データを無料で使用することができます。
紹介するのは、国研のコーパスアプリケーションの「少納言」と「中納言」です!
は「研究」「教育」目的であれは無償で利用できるコーパスを検索するためのアプリケーションです。
「少納言」をまず見てみましょう😊
少納言
筆者撮影:国立国語研究所 小納言Top https://shonagon.ninjal.ac.jp/ (2023.8.10閲覧)
「少納言」は個人情報登録不要の無料サイトになります。
ただ検索できるコーパスは「現代日本語書き言葉均衡コーパス(BCCWJ)」のデータのみです。
しかし、それだけでも約1億語収録されているのですから、すごいですよね!😳
検索もシンプルで、よく使用される表現パターンやコロケーションを探したい(例文作りに役立てたい)複雑な検索をしないなら、「少納言」で十分かもしれません。
😳
利用したい方は、利用法を読み同意ボタンを押します。
すると、以下のような↓検索画面に移動しますよ。
筆者撮影:国立国語研究所 少納言 https://shonagon.ninjal.ac.jp/search_form (2023.8.11閲覧)
この画像を見ていただくとわかるように、検索文字列を入力し「検索」を押すと、該当データが出現します。
抽出したい特定のメディアがある場合は、メディア/ジャンルのチェックを入れたりして検索メディアの範囲を限定することが可能です!
ただ、こちらは「書き言葉」のみのデータです。
試しに「取り沙汰される」で検索してみました。
筆者撮影:国立国語研究所 少納言「取り沙汰される」検索結果 https://shonagon.ninjal.ac.jp/search_result(2023.8.11閲覧)
こんな感じで検索結果が表示されます(画像は検索結果の一部なので、実際はメディアタイトルや執筆者情報などがあります)
私がコーパスを利用するときは言葉の使用傾向やコロケーションを見たいときです。
あとは、いい例文になる文章がないかなぁ……とか😅
先述しましたが「少納言」は、書き言葉のコーパスなので日常会話で使用する傾向が見たいとかは抽出ができません。
また、検索も文字列しかないので、もっといろいろ指定して抽出してみたいという方は、次に「中納言」をおすすめします。
中納言
さまざまな種類のコーパスが無料で使用できるのは「中納言」です!
筆者撮影:中納言 ログインページ ログインのためURL省略
こちらは先ほど紹介した「少納言」と違い、ユーザー登録が必要で、承認を受ける必要があります。
でも、無料で使用できますよ。
筆者撮影:国立国語研究所 中納言 まとめて検索KOTONOHA トップページ ログイン後のためURL省略(2023.8.11閲覧)
私は大学院時代に授業や研究のためにほぼ全てのコーパスの使用申請したので、検索対象可能なコーパスは全て使用可能になっています。
みなさんも気になるコーパスを選択して利用申請をしてみてください。
研究者や大学関係者でなくても教育目的なら登録してもらえると思います😊
ただ、登録申請に許可が下りるまで少し時間がかかるかもしれません。
筆者撮影:国立国語研究所 中納言 まとめて検索KOTONOHA トップページ ログイン後のためURL省略(2023.8.11閲覧)
中納言では画像のようにたくさんのコーパスから検索できます。
コーパスがよくわからなくても、「コーパスの紹介ページ」でコーパスの説明がありますので、とりあえず説明を読んでみてみてください。
方言コーパスとか、多言語母語の日本語学習者横断コーパスとか面白いですよ。
話がそれましたね……(笑)
「少納言」の「現代日本語書き言葉均衡コーパス(BCCWJ)」ももちろんあります。
話し言葉を中心に調べたいなら「日本語話し言葉コーパス(CSJ)」や「日本語日常会話コーパス(CEJC)」をみてみるといいかもしれません。
すみません、私はコーパスの専門家ではないので、軽くしか説明できません。
そしてシンプルな検索しかやったことないので、細かい検索方法が知りたい方は、操作方法をご自身で読んで試してみてくださいね。
そして国立国語研究所の方が作成しているコーパスに関する動画もYouTubeで公開されています。
コーパスについての概要が知りたい方はぜひこの動画↓を見てみてください!わかりやすいです。
中級〜上級の授業で新聞記事などのレアリアを授業で扱うと、難しい経済用語や政治用語など出てくると思います。
私は大学の授業で新聞記事を題材に授業をし、そういった専門用語を扱う必要があるため、コーパスでどのように使用されているのかを検索します。
データベースには新聞記事や雑誌が含まれているので、実際に使用されているものを例文として学生に提示することができ、助かっています。
参考書の中には、「え?これどんな時に使用されているのか?」「こんな言い方しなくないか?」と首を傾げるようなものも中にはありますから。
それは時代の流れと共に日本語が変化しているからそう感じるだけ、私自身の日本語の語感が変……いろんな要素が関わっていると思います。
その点、コーパスは出典情報も掲載されているので、その文がいつ、どの媒体で発信されているのかわかりますよ。
『Yahoo!知恵袋』はちょっと言葉の使い方が怪しい時もありますが(笑)
「中納言」の概要を読んでいたら、「日本語ウェブコーパス」が利用できるのは2024年2月29日までということを知りました。
国語研日本語ウェブコーパス』中納言の廃止につきまして
引用元:「『国語研日本語ウェブコーパス 検索系「中納言」」
『国語研日本語ウェブコーパス』中納言の新規申請・追加申請を2023年9月30日で廃止します。
『国語研日本語ウェブコーパス』中納言サービスを2024年2月29日で廃止します。
https://masayu-a.github.io/NWJC/
https://masayu-a.github.io/NWJC/(2023.8.15閲覧)
でも、よく使用されている「日本語話し言葉コーパス(CSJ)」や「日本語日常会話コーパス(CEJC)」は引き続き使用できるみたいです。
よかった〜〜〜😭
まとめ
前編、後編で「中級以上の語彙の教え方&役立つ無料サイト」を書きました。
記事で紹介した情報は私が大学院時代に学んだことや教えてもらったことになります☺️
せっかく学んだ有益を情報がいろんな方に伝わったなら私はうれしいです。
あと、国立国語研究所が開発している「コーパス」や「基本動詞ハンドブック」は、日本語教師の方にはあまり知られていない気がして書きました。
使いこなせるようになると自分の引き出しが増え、きっと授業準備に役立つと思います!!
あ、私は別に国立国語研究所のスタッフでもなければ、お金をもらって広報活動をしているわけではありませんよ!!
どんなにいいツールがあっても、たくさんの人に使われないと次の開発につながっていかないのです😫
私は大学院で「研究」にはお金がかかることを知りました。
大学も、研究所もお金が潤沢にあるわけではなく、昔に比べてカツカツだそうです……(泣)
近い将来の役に立つものには国が予算をたくさんもらえたりするようですが、すぐに役に立たないもの、多くの人の役に余り立たないものには予算がつきにくい傾向が……
そうなると……いいものを開発できるアイディアがあっても、作れず……人も雇えず……(泣)
「コーパス」も本当にすごい時間と人手と細かい作業の結集で作られている、すごいものなのです!!
なので、私のブログでいいものはどんどん広めて、みなさんに知ってもらい、ぜひ使ってもらいたいと思います。
じゃないと、きっと運営費がなくなって有償版もしくは廃止……になってしまうかもしれませんので。。。
わたしのこのブログも早3年目に突入しました。
正直、運営費を考えるとマイナスでブログやめようかと思いました……
でも、最近いろんな方から「読んでます!」とか「役に立ちました!ありがとうございます」というメッセージをいただき、続ける勇気をもらいました。
そしてちょっとずついろんな方にブログを読んでもらえるようになり、運営費分だけはお金を回収できるようになりました。
この場を借りて、御礼申し上げます。
数ある記事から選んでいただき、そして、お読みくださりありがとうございます。
これからも、ちょっとずつ更新しますので、引き続きお読みいただければ幸いです。
個人的な内容やブログに書ききれなかったことはnoteで書いています↓
noteもよろしくお願いします😊
コメント