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【日本語教師】私がやっている「漢字授業」のノウハウをシェアします②

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前回の内容で漢字の授業のヒントがつかめた気がします!漢字の書きはどうやってやってるんですか?

さじここ
さじここ

それはよかったです!では、今回は書きのパートを紹介しますね!

こんにちは。日本語教師のさじここです。

前回の記事では「漢字の読みの導入〜活動」までを紹介をしたので、今回は授業の後半の「漢字の書き」について私が実践していることを紹介したいと思います。

最後までお付き合いいただけたらうれしいです!

漢字を「手書きする練習」の意味を考えてみた

私は日本語学校や大学で漢字授業を行ってきましたが、たまに学生から

「今の時代、漢字を手書きする意味ってありますか?」

「自分は交換留学生だから手書きは不要です」

「漢字を手書きすることが苦手……」

みたいな意見をもらうことがあります……😅

確かに、一理あるな……と🧐

最近は、スマホやPCでタイピングすることの方が多いですし、予測変換の技術もかなり進歩していますから、漢字を正しく選べることができれば、別に「手書き」しなくてもいい気もします😅

その一方で、留学生にインタビューしたときに、

「先生、簡単な漢字を手書きできないと恥ずかしい!」

「日本で生活していると住所などを漢字で書く機会が意外に多い!」

「日本は結構アナログだから書類は手書きだ」

みたいな意見もあり、最初は手書きに否定的だった学生も、日本で暮らすうちに漢字が手書きできると便利だと感じるようになり、自主的に「マス目の漢字練習帳」を購入し、家でたくさん練習していました(笑)

組織のカリキュラムで「漢字の読み書き」を習得するとありますので、やらないわけには……というのが本音でしたが、学生からそういう意見を聞いて私自身勉強になりました。

期末や中間テストなどで漢字の「読み」だけでなく、「書き」もいれるなら、少なくとも授業内では扱う必要があるかと思います。

そんな「書き」の授業、みなさんはどうやってやっていますか?🧐

私がやっている漢字授業

読みの授業と違って、特に目新しいことはしておりません!!(笑)

ただ、ここからは黒板やホワイトボードを使って、実際に書いて学生に見せます。

私の日本語教師の師匠が、「学生に手書きを見せるのも有益で貴重な時間」と言っていたので、時間はかかりますが一文字一文字、板書しています。

やり方は本当にシンプルです。

漢字圏の学生にとっては、これは退屈な時間かもしれません😅

でも、案外ノートを見て回ると中国の漢字と混同してたりするので、学生が書いたものをすぐフィードバックすることはおすすめです!

学生もその場で修正できるので、家での練習にも役立ちます。

一つ一つ「板書して、ノートに書かせて、見て回る」とかなり時間がかかるので、最近は3〜4ぐらいまとめて前で板書して、それから書く練習をする時間にしています。

ノートに書くのも個人差があるので、早く終わった人は先に見てあげて、次の課題をやってもらいます。

そう、これが肝です。

早く終わった人用の課題を用意しておかないと、学生は手持ち無沙汰になってしまいますので、次で紹介するようなちょっと難しいものを用意したりしていますよ😚

漢字の書きは特に漢字圏の学生にとって退屈……みたいな雰囲気にどうしてもなりがちです😅

一人一人机を巡回しながら漢字のフォームをチェックしていると、ノートに書き終わって手持ち無沙汰になる……

そんな学生向けに、ホワイトボードや黒板に「ひらがなだけの文」をかいて、全部感じにできるか力試しクイズを提供するときもあります。

たとえば……

「わたしはまいにち7じにごはんをたべて、はをみがきます。それから、じてんしゃでだいがくへいきます。」

みたい文にして、「どれぐらい漢字で変換して書けるか?!」という単純なクイズです(笑)

今日導入した漢字だけでなくすでに習った漢字も混ぜてみると、「全部書けない!」ってなり、学生は悔しそうにスマホやテキストを調べ始める(笑)

また、これは「語の区切りや単語がわかっていないと漢字に変換できない」ので、かなり勉強になるかと。

終わった学生は音読もさせてもいいですね。

さらに、答え合わせは学生に前に来て書きに来てもらうと、自分も楽だし、みんなもその人の漢字の書き方をチェックするので学びがありますよ。

即興でできる練習なので準備も不要!おすすめです😃

書き順スライド

「書き順が心配だ」という方は以下の無料サイトが便利です😄

漢字書き順辞典

こちらは、読みから該当漢字を探すことができ、書き順アニメーションをPowerPointに埋め込むことが可能です。(Googleスライドには対応していなくて、アニメーションにならない)

やり方は簡単で、「画像を保存→PowerPointのスライドに貼り付ける」だけ

学生が自分のノートに書いていて書き順をもう一度!と言われた時のために、スライドにこの書き順アニメーションを投影しておくと便利です。

ちなみに、こちらのサイトは書き順だけでなく、その漢字の練習プリントや、使用熟語なども載っているですごいですよ。

無料なのがすごい!⭐️

Microsoft提供「書き順付き文字スライド」

こちらはMicrosoft社が無償提供している小学校で学習する文字(漢字)のPowerPointスライドになります。

上記のサイトは一つ一つ保存する形になりますが、こちらは一括zip形式でサイトからダウンロードします。

私はやったことないのですが、作成した文字すべてが一画ごとに独立したパーツの組み合わせから構成されているため、色、大きさ、位置、視覚効果の追加などがパーツごとに編集可能らしいです。

さすがMicrosoftって感じです!!

読み書き障害のある子どもたちへの活用目的で作られているので、そういう細かいこともできる設計みたいです。

留学生の日本語教育にも役に立ちそうですね。

使い方はサイトの説明を参照ください。

漢字授業などでお勧めしたい「モリサワ フォント」について

前回の読みの記事でお伝えできなかったのですが、私はPowerPoint、Wordで教材つくるときに「モリサワ フォント」を使用しています。

モリサワフォントとは?→ https://www.morisawa.co.jp/fonts/

この文字はモリサワフォントの「UDデジタル教科書体」です。

絶妙な太さと間隔!!読みやすくないですか?!😆

モリサワのUDフォントシリーズは「より多くの人に読みやすいように開発されたもの」らしいです。(HPより:https://www.morisawa.co.jp/fonts/udfont/

なので、日本語学習者にとっても読みやすいフォントなのではと思います。

ただ、こちらのフォントを個人のPCで導入するには結構高い……😅

通常プランだと数万円かかるので、私がお勧めするプランは「MORISAWA BIZ+」!!

こちらはUDフォント58書体使えて、Officeアプリケーションに対応しています。(MacでもOK)

1ライセンス、「1ヶ月 330円(税込)」 or 「1年間 3,960円(税込)」のプランがあります。※2024年9月末現在

また、無償版でUDフォントを体験することも可能です(残念ながら、教科書体は無償で体験できません……)

ぜひぜひ、この機会に日本語教師の方にもUDフォントを広めて使ってもらいたいです!

というのも、わたしが過去に担当した学生さんの中に、読み書き障害(LD:ディスレクシア)をもっている学生さんがいました。

彼はどうしてもひらがながうまく書けない。

読解もとても時間がかかる。

本人との面談で、母国でそのような診断を受けていたことが明らかになり、いろいろ彼への配慮を試行錯誤したことがあります。

その当時はUDフォントのことを知らず、普通の教科書体でテストやプリント、スライドを作っていました。

もし、私が授業でUDフォントを使用していたら、彼はもっと日本語を学習しやすい環境を手に入れられたかもしれません。

新しい技術の情報って大事ですね🧐

なので、担当されている日本語学習者の方がなかなかひらがな、カタカナ、漢字を覚えられない、読むのに苦労している……ことがあったら、このモリサワフォントの「UDフォント」に変えてみることも一つの手かもしれません😄

(余談ですが、モリサワフォントにも書き順のスライドや一画ずつの書き順のプリントがつくれるフォントもあります!)

モチベーションが低い学習者に漢字に興味を持ってもらうには?

前の記事でも漢字へのモチベーションが低い学生について少し触れました。

クラス全員が100%「漢字大好き!」ってことはあまりないと思います。

中には、「試験のため」「やりたくないけど頑張らないと次のクラスへ進めない……」「単位もらえないからやる」みたいな外発的動機づけで頑張っている人もいますね。

それが別に悪いわけでは決してないのですが、できれば、「漢字っておもしろい」「漢字って便利」「漢字を覚えると自分の生活が変わる!」みたいなポジティブに学んでもらえると私はうれしいなぁ……と思います。

「漢字って便利!」と体感できそうな活動をいくつか紹介しますね。

私が初級の学生の学習目標で意識していることは「自分のことを相手に日本語で伝えることができる」です。

その中に、自分の「個人情報」……たとえば、自分の名前、住所、電話番号、学校名などを聞かれてすぐ書いたり伝えたりできるようになってもらいたいという願いがあります。

ですから、ある程度漢字を勉強してきた段階で、自分の住所や学校名を漢字で書く練習を取り入れています。

これが結構、留学生に好評で、実生活でとても役に立っているそうです。

「住所の漢字は難しいから初級前半では無理じゃない?🙁」

と思われるかもしれませんが、東西南北ぐらいの漢字導入できていたら、学生は頑張って練習してくれます。

難しいものをずっとやらないよりも、「できなくてもやってみよう!」っていう精神がいいかもしれません。

なぜこれが学生にアンケートで高評価なのかインタビューしたところ、「住所ぐらい漢字で書けないと恥ずかしい」「名前、住所を手書きしなければならないことが日本社会では多い!!」という意見をもらいました。🧐

なるほど〜〜って感じです。(上記で書いたことと繋がっていますね)

せっかく文法で「使用場面」を意識しているなら、ぜひ漢字授業でも意識できると学生にとってもおもしろくて役にたつ授業になる気がします。

住所を手書きすることが多い場面を思い浮かべると……たとえば、病院の問診票、アパートを探すときのアンケート、銀行などの窓口……などなど。

いろんな場面で使用できるので、「自分の住所を漢字で書く」は実生活どこかで役に立つと思います!

より実生活で使えると思える活動……

それは、「駅や学校周辺、食品のパッケージなどに書いてあるものを写真撮って紹介し、漢字を読んでもらう」活動です。

以前勤めていた日本語学校では、メニューや駅の写真に書いてある漢字の意味は何かという問題をテストやクイズにしていました。

「出口」という漢字の意味を知っていると、災害時にも役に立ちますし、駅でGoogleマップを開かなくとも出口に向かうことができますよね。

東口、南口、北口、西口も大きなターミナル駅では大事な情報!!

「漢字が読める&意味がわかると便利!」と学生が口を揃えていうのはこういうのを覚えたときのようです😄

漢字も「意味・形・読み方・使用場面」を意識して教えると学生は興味を持って覚えてくれるのでは?と思います。

「でも、自分でこういう問題を作るのは大変……」

そういう方には以下のテキストがおすすめです。

※このブログはブログ運営費用のために、Amazonアフィリエイトプログラム等に参加していますが、私個人の見解で勧めております

漢字たまご 初級 [新装版]

こちらは、「できる日本語」のテキストに準拠しています。

導入漢字をいろんな場面で読んだり書いたりできるように工夫がされていて、おもしろいテキストです😄

先ほどの個人情報を書く練習もありますし、駅やスーパーの食材のパッケージを読む練習もあります!

よくある、「ひらがなを漢字にする練習(書き練習)」や「漢字の読みを書く練習(読み練習)」ももちろんあるので、バランスがいいかと。

「できる日本語」の教科書と同じように、課の扉のイラストを見て「知ってる漢字はありますか?」とクラスで新しい漢字導入前に話すことができるのも学生にとって、GOOD!

漢字のテキストですが、「ポスターの情報を読み取る」「旅行案内を読み取る」「メニューを読む」という漢字が読めて言葉の意味を理解していないと解けない問題もあります。

こういう問題はより実践的でおもしろい。

漢字の問題作成の参考にもなるので先生にとってもおすすめです!😆

生活の日本語『いろどり』

ご存知の方も多いと思いますが、こちらは国際交流基金が無償提供しているテキストです。

このテキストも先述した「漢字たまご」みたいに、漢字で書かれた文のポスターやメニューを読んだりするページがあります。

たとえば、7課-16では、洗濯機のボタンに書かれた漢字の意味を考える活動です。

漢字は標識などだけでな、家電のボタンやエレベーターのボタンにも書かれている。

つまり、何度も日常的に目にするので学生にとって有益情報ですね!

そういうものがオールカラーで提供されて、それも無料で使用できますので、ぜひみなさんもサイトを覗いてみてください🎵

添削便利アイテム

漢字の書きは添削が必要になると思います。

私は毎回授業で導入した漢字の読み書きプリントを作成し、宿題として提出させているのですが、毎回マス目を手書きし漢字を書いて、注意するポイントを示すのは結構大変……😫

マス目の手書きって面倒じゃないですか?

私のフリーハンドだと歪むんですよね(笑)

そこで見つけたのがこの「マス目スタンプ」!

これは押し込めばポンっとマス目のスタンプが押せる優れものです!!

インクも一体化しているので楽です。

押すとこんな感じになります↓

私が購入したものはインクの色はバリエーションがありました。

しかし、紹介しておきながら購入したサイトを探したら見当たらず、廃盤かもしれません😭

類似品を見つけたので、リンク貼っておきます↓😄

「3回かこう」とパンダのイラストが入ったものもあるようで↓こちらは留学生にも喜ばれそう!

インクとは一体になっていないスタンプもあります。こちらは「なぞりましょう」「かきましょう」の2マスで1スタンプになっています。

日本語学校などの講師室にぜひ常備してもらえるとありがたいですよね……(笑)

漢字だけでなく、ひらがなからスタートするクラスにもめちゃくちゃ使えると思います!!

あと、スタンプではなく「マス目付箋」↓もあるようです!

添削するスペースが限られている場合は、付箋のほうが便利かもしれません。

こういう便利文具を利用すると添削の時短になると思います😄

無料イラスト素材【イラストAC】

まとめ

2回にわたって私の漢字授業やおすすめテキスト・アイテムなどを紹介したのですが、いかがだったでしょうか?

文法の授業は見学させてもらったことあるけど、漢字はないなぁ……という方が多いのではと思います。

私も、文法はかなり他の先生の授業を見せてもらって勉強してましたが、漢字は数人しか見てないです😅

なので、他の先生がどういうふうにやっているのか結構気になります!😚

この記事で書いたことが皆さんの授業のお役に立ったら幸いです。

授業で役立ちそうなことはブログに、私の個人的な話はnoteで書いています。

noteではブログが更新したときに大抵書いているので、フォローしていただけるとうれしいです!

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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