こんにちは。日本語教師さじここです。
私は最近SNSで日本語教師を目指す方を見かけてとてもうれしく思うのと同時に、ちょっと心配になる部分があり、現在(2021年8月時点)の日本語教師業界についてシェアしたいと思います。
読んでいる途中、日本語教師デビューに迷いが生じるかもしれません。
そうなったら、一旦判断を保留にして今の考えている道が本当に安全かどうか…リスクマネジメントはできているのかもう一度考えたほうがいいでしょう。
それがあなたのためです。
せっかく憧れの日本語教師になっても、厳しい状況に直面し精神的に辛くなるのは避けたいですよね。
コロナ前だったらもしかしたら、なんとか踏ん張ってやっていけるかもしれませんが、今は違います。
日本語教師業界は現在、就職超氷河期で、ベテランの日本語教師も授業数が減り大変な状況です。
以下の内容を知っても、「やりたい!日本語教師一本でがんばっていきたい!」と思う方は、ぜひ現実に負けずに突き進んでいただきたいなと思います。
応援します!!😁
では、最後までお付き合いください。
「一般企業で働く or 日本語教師」で迷っている方へ
今大学3年で来年就活しなきゃなんですけど、日本語教師になりたくて…。就活せずに養成講座に通うべきですか?
そうですね…私なりの見解をお伝えすると…
Twitterでたまに、「就活すべきか日本語教師をすべきかで悩む」という大学生の方のつぶやきを見ます。
私はそういう投稿をみるたびに、
「ああ、日本語教師が一つの選択肢になって、うれしいなぁ〜😊」
と思う一方で、
「日本語教師についてどのぐらい調べたのかな?😥」
と心配になります。
結論から申しますと、一般企業で働いている方はとりあえず、一般企業の給料を確保して日本語教師を目指したほうがいいです!
これから就活する大学生の人は、とりあえず今は一般企業に就職しておきましょう。
理由その①:コロナで日本語教師の仕事が激減中
今の日本語教師業界は就職氷河期です。
非常勤講師の話の記事でも書きましたが、今、本当に求人が少ないんです。
前回の就職氷河期の東日本大震災が起きた時も、しばらく留学生は日本に戻ってこなかったので、私の知り合いの非常勤講師の先生は日本語学校を助けるために無賃金で日本語を教え、日本語学校近くのスーパーでアルバイトをしながら生活していました。
今回のコロナも留学生が日本に戻ってくるまで時間がかかりそうです。
コロナにより外国から日本への入国制限がまだ緩和されていません……(2021.8月現在)
この春に会社の異動で日本に来ることが決まっていた私のインドの学生は、渡航制限により入国が2回も延期になり国でずーっと待機中…(おそらくこの9月来日予定も延期になるでしょう…)
幸い、まだ会社から日本語教育の支援が続いているので私も仕事を失わずに済んでいますが、これもそろそろ打ち切りになりそうで、私自身もヤキモキしています😥
今年の2〜3月にビザを取得できた外国人はビジネス関係者(技能実習生含む)で、大学入学が決まっていた留学生はビザ取得できず、今も国で待機しています。
つまり、高度人材や技能実習生、大学の留学生が日本に来られていない状況で、日本語学校の留学生が来られるわけがない=求人はしばらくは増えない
ということになります(泣)
求人があっても、怪しいものが多いです(個人的な見解)し、このご時世、新人の日本語教師を取ってくれるところは珍しいです。
だから、変な怪しい求人には引っかからないでほしい!!😥
まだ教師デビューできてなくて焦っているかもしれませんが、そういうときこそ一呼吸おいてください。
まともな判断ができなくなって、やばい日本語学校に引っかかります。
(私が思うやばい日本語学校っていうのは、安いコマ給でいいように使われる学校、全く管理が行き届いていなく教師の質がいまいちの学校など……)
ちゃんとした日本語学校は、新人日本語教師にはちゃんと研修をしてくれるところが多いですから、すぐ即戦力にはならないけど長期的な学校の計画のために…という風に伸びしろで採用します。
でもそれは余裕があるときのことであって、日本語学校が経営難の場合はそんな新人を育てている余裕はないのが現状です!!
ベテランの日本語教師でさえ、コマ数が減らされ日本語教師だけでは生計を立てることが難しい。
コロナ前は、オリンピック需要で求人もわんさかあり、バブルだったんですが…はじけちゃいました…😥
どこの業界も同じで厳しいとは思いますが……(泣)
理由その②:やっぱり社会人として経験が必要になる
これは特に大学生で日本語教師になろうかと考えている方にお伝えしたいのですが、今学習者のニーズは多様化していて、日本語教師は日本語だけを教えればいいというわけではありません。
日本社会のマナーや日本文化、ビジネスマナーに敬語の使い方、ビジネスメールの書き方、電話のとり方など、日本で働くための知識を欲している学習者が増えています。
私は少し前までは介護の技能実習生に日本語を教えていたのですが、そのとき介護についての知識が必要になりました。
相手のニーズが多様化しているので、こちら側もいろんなスキルを持っておいたほうが絶対いいですし、他者との差別化ができます!
とりわけ社会人経験はとても重要で、自分自身会社に身を置くことでさまざまな日本特有の企業文化について学べると思います。
名刺交換の仕方や電話応答の仕方はやっぱり実践を積んでなんぼ!
会社に勤めないとわからないことはたくさんありますし、そういうものは誰も親切に講義してくれませんので、経験や失敗が大切だと思います。
日本語をしっかり勉強したい人は最終的に日本で働きたい人が多いです。
だから、ビジネスマナーや敬語の使い方などは彼らにとって、とても知りたい知っておきたいポイントなのです。
また、お金があれば、海外に渡航し日本語教師をすることだってできますから、日本語教師の求人が少ない今は一般企業に勤めて、独立資金を蓄えましょう😊
お金がなかったら何もできませんし、生活だけでなく精神も不安定になりますから、まずは安定した職を得てお金をためて、日本語教師をするというのが今のこの状況下ではいいのではないかと思います。
日本語教師の求人が少ない今、ストレートで日本語教師になるより、ちょっと寄り道して一般企業に勤めて社会人経験を積んでみてはどうでしょうか?
オンライン日本語教師でやっていこうと考えている方へ
日本語学校の求人がないなら、オンライン日本語教師でやっていこうと思います!今なんか流行ってますよね?
オンライン日本語教師…簡単にできると思っていませんか?
オンライン日本語教師とは?
最近よく耳にする「オンライン日本語教師」…
みなさんは「オンライン日本語教師」はどんな人たちでどんなイメージを持っていますか?
私のゼミの同期がちょうど今オンライン日本語教師の実態調査をしていて、よく「オンライン日本語教師とは?」がゼミで話題になります。
つまり、オンライン日本語教師というのは結構、曖昧な言葉…
今の所、しっかりとした定義があるわけではないです。(管見の限り…)
私が考えるオンライン日本語には2通りあります。
①日本語学校や大学などの教育機関に属する日本語教師(主にクラスレッスン)
②プライベートレッスンで日本語を教えている日本語教師(フリーランスで)
ちなみに私は①の日本語学校所属でクラスレッスンをZOOMで行っていますし、オンラインでプライベートレッスンもしていますから②にも該当します。
なので、Twitterなどで「オンライン日本語教師です」と書いてあっても①か②かは詳細が書いていないとわかりません。
おそらく多くの人は②を指しているかと思いますが……😅
新人がオンライン日本語教師一本でやるのは危険
個人的な見解ですが、新人日本語教師が②のタイプのオンライン日本語教師一本でやっていくのはかなり難しいのでやめたほうがいいです。
オンラインで日本語を教えるのは確かに自宅でできてはじめやすいと思います。
でも、②のタイプはフリーランスなので、収入がとても不安定になります!(覚悟が必要!!)
①の日本語学校などと提携の場合はコンスタントに授業をふってもらえると思いますが、②の場合は自分で営業しなきゃだめなので、大変です。(詳しくは→https://sajicoco.com/392/)
たとえ授業が面白くても、パソコンスキルや営業スキルがないとなかなか学生(顧客)を捕まえられない。
そして、下手したら24時間体制になり過酷労働になることも…
私の知り合いは②のタイプですが、不定期に授業が入るので出かけられないし予定が立てにくいと言っています😥
また、最近はコロナの影響で、今まで参入してこなかったベテランの日本語教師たちもどんどんオンラインで日本語を教えるようになり、供給>需要になりつつある……
そうすると、少しでも学生に選んでもらいたいから自分のレッスン単価を下げる→オンライン業界全体の授業単価が下がる→収入減 or 今までのレッスン単価じゃ学生が捕まらない
という構図ができつつあります。
これ↑はやっている私の肌感覚です。
「私はちゃんと稼げてオンライン日本語教師一本でやれてます!」という先生はとてもスキルが高い or もともとの固定客がいると思われます。
ベテランの先生は日本語教師のオンラインセミナーで稼いでいたりもするので、新人が同じようにできるわけではないかと……
もし気になるなら個別にメッセージを送るなどしてやり方(集客方法など)を教えてもらったほうがいいですね。
結論としては、これからオンライン日本語教師デビューしたい方は、オンライン日本語教師一本でいくのではなく副業程度にしておいたほうが無難です。
オンライン日本語教師一本で生計を立てたいなら、その稼いでいる方のようにもっと経験を積んでスキルアップすることをまず第一に考えましょう。
できるなら、オンラインで日本語を教えるだけでなく対面授業(クラス授業)の実践を積んだほうがいいと思います。
対面授業のスキルがある先生はオンラインでもやっていけるかと思いますが、オンラインでしか授業をしたことがない先生が対面授業ができるかというと……どうでしょう?
学生への目配せや立ち姿勢、あの独特の緊張感など、オンラインでは再現できない要素が対面にはたくさんあるように私は感じます。
まあ、オンラインでも対面にはない困難さはありますが……😅
(プライベート)オンライン日本語教師の落とし穴…
ここからは②のプライベートレッスンで日本語を教えているオンライン日本語教師についてです。
みなさんはご自身の『日本語教授歴』について意識したことがありますか?
もし、これからキャリアアップを考えて大学院や国際交流基金などの機関の求人に応募しようと考えているなら、②の日本語教師だけはかなり危険です!
まず、大学院の日本語教師枠で応募するには、日本語学校での日本語教授歴の証明が必要になります。(※大学院による)
日本語学校の専任講師の求人でも、「(プライベートレッスンを除く)3年以上」と書かれていることも…
私は養成講座の先生に、「プライベートレッスンと海外での教授歴(大学は除く)は教授歴にならないから注意しなさい」と言われました。
日本語学校はクラス授業ができる人を求めていますから、そうなってしまうのかなぁ…と思います。
個人的には、プライベートレッスンも海外教授歴も含んでいいと思いますが…
「オンライン日本語教師歴募集!」と求人があって応募しても、プライベートレッスンしかしたことがない場合は書類で落とされてしまうかもしれません。
求人の多くは「職務歴・日本語教授歴」も履歴書と一緒に提出しますから、採用担当の人はそのへんはわかってしまうか…😥
ただし、日本語学校で勤務経験があり日本語教師歴2年以上の人はあまり問題ないと思います。
日本語学校で勤めたことがない、ちゃんとしたクラス授業をしたことがない新人の方は、まずはどこかの日本語学校の非常勤をすることを目指したほうが今後のためになると思います。
あと、これは個人的な感想ですが、初めにプライベートレッスンに行ってしまうと、クラス授業がめんどくさくなったりするかもしれません。
やっぱりオンラインでプライベートレッスンの方が自由がきくし、いろんな制約がなくて楽…です😂
引き継ぎもしなくていいし、成績管理しなくていいし、ちょっと雑談でテキストやれなくても他の先生には迷惑かかりませんからね〜😅
だから、私も日本語学校の方からオンライン日本語教師②に乗り換えたくなる気持ちがたまに出てきます。
でも、収入面とかいろんなことを総合的に考えて、両輪で日本語教師をやっています。
まとめ
TwitterとかのSNSを見ていると危ない橋を渡ろうとしている養成講座修了したばかりの人や検定合格者や大学生をちらほら見て、余計なお世話だろうと思いつつも、心配になり書きました。(上から目線な感じですみません…m(_ _)m)
「日本語教師一本でやっていけるのか?」という疑問や「オンライン日本語教師ならできるかも」という投稿はわりとよく見かけますので、私なりの見解を書きましたが、これが全てではないですし、実際にがっつり稼いでいる方ももちろんいます!!!
ただ、そういう方は今のこの状況ではほんの一握りだと思います。
ネガティブな情報ばかりで、読むのが嫌になったかもしれません…
日本語教師をやっていく自信がなくなった人もいるかもしれません…
それでも、最後まで読んでくださりありがとうございました。
私は、せっかく苦労して日本語教師の資格をとったのに業界の情報不足でなかなか日本語教師としてうまくいかず悩み…病んでしまう人が少しでも減ることを願っています。
私が日本語教師デビューする時期を悩んでいたとき、
「そんな、くよくよ悩むくらいならやめなさい! 覚悟がないならやっていけないから」
と私の尊敬する養成講座の先生に怒られたことがあります……(汗)
その先生がいうように、現実は甘くはなかったです😣
当時は今ほどSNSなどが普及してなかったですから、こういった情報は全く知りませんでした。
私の場合、初めて勤めた日本語学校がやばい日本語学校で大変でした。
周りの非常勤の先生がいい方で、ものすごく助けてくださってなんとか乗り越えましたが、一歩間違えば日本語教師業界から去っていたと思います。(←この話はまた後日にでも…)
だから、これから日本語教師デビューする方は、リスクマネジメントをしながらこの業界に参入するのが身のためです。
そこができていない人は耐えきれずに辞めていく…辞めなきゃいけないことになっています😥
冒頭で述べたように、この厳しい現実を知っても尚、「日本語教師一本でやっていくんだ!」と思った方、どうか、いろんな知識・情報を収集して武装して、前に進んでください。
そういうガッツのある方はどんな組織でも求められますし、これからの日本語教育業界に必要な人材だと思います😊
長々と書きましたが、以上がまだこの業界に参入していない、これから教師デビューを考えている方にお伝えしたかったことです。
これはあくまで私の個人的な見解ですから、ご自身で情報を取捨選択してくださいね!!
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました😊
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