こんにちは。日本語教師のさじここです😃
今回の記事は、シリーズ化しつつある「ビジネス日本語」についての更新記事です。
今回でpart3になります。
以前の投稿が知りたい方はこちらから↓
「ビジネス日本語」ですが、日本語学習者の興味関心は高いですね。
実際、大学の学生やプライベートレッスンで「ビジネス日本語」や「敬語」を教えてほしいと言われます。
ということで、「これから日本で働きたいと思っている学習者」や「すでに働いているけど職場内でもっと日本語が上手に使えるようになりたいなど」の日系企業の就労者に需要があるので、日本語教師としてもこの分野を教えられるとかなり武器になると思いますよ😃
今回は、私が学生に教えて喜ばれた「ビジネス日本語に関するトピック」や、まだ紹介していないビジネス日本語のテキストをシェアしたいと思います。
最後までお付き合いいただけたら幸いです。
学習者が知りたい「ビジネス日本語」
italkiで私はビジネス日本語のレッスンをしていますが、そこでよく学習者から相談を受けるのが、
「敬語をいつ、どんな感じで使えばいいかわからない」
ということです。
結構みんな口を揃えてこれを言います(笑)
しかし、これだと学習者が望んでいるレッスンや、抱えている具体的な問題がわからないので、色々質問して深掘りしていくと……
「敬語自体はなんとなく知っている、理解しているけど……会話では尊敬語と謙譲語がごちゃごちゃになる」
「ビジネスメールを書くときうまく敬語で書けない。不自然な日本語になる」
「取引先と自分の会社の人だと呼び名が変わるのはなぜかわからない。電話の応対がうまくできない」
という感じでそれぞれ抱えている悩みがでてきます。
でもたいてい、「いつ・どこで・どのようなフレーズで・誰に(どのレベルの上の人に)」使用すべきかわからなくて困っているという問題が多いです。
ちなみに、日本語ネイティブのみなさんは、敬語をどうやって覚えて使っているのでしょうか?
日本語ネイティブであっても、社会に出るときにビジネスマナーと一緒に必死に覚えたのではないでしょうか?
就活の面接では敬語で受け答えする必要があるので、大学生の人は就活本で敬語覚えたり、入社してからのビジネスマナー研修で学んだりしている気がします。
つまり、日本語ネイティブであっても敬語を暗記しているのでは?と思っています。
少なくとも私は日本語教師になる前、尊敬語と謙譲語の違いは知っていましたが、尊敬語には「受身」「お+vます+になる」「特別な形」の三つがあることを意識して使用していませんでした😅
つまり、私はそんなことを一つ一つ考えて使っていなかった……😱
何が言いたいかというと、私的には、ビジネス日本語は「使用場面」&「フレーズ」で覚えてしまったほうが早いのでは?!ということです。
だから、私は難しいルールより、
・(日程変更)を(上司・取引先)に依頼する場合は……
「会議の予定を変更させていただけませんか/変更させていただけないでしょうか」
・上司に話しかけたいときは……
「すみません、今お時間よろしいでしょうか/部長すみません、今お忙しいでしょうか」
みたいな感じで、よく使用するものをパターン化して教えています。
(学習者の職種や就職希望する業界に合わせて語彙も教えています)
そして、ビジネス日本語を教える時に、まず私が使用するのが、他の記事でも紹介している
「新・にほんご敬語トレーニング」 金子広幸 (著)です!😃
(上のリンクからAmazonに飛んで、サンプルがご覧いただけます)
いろんな教材を見てきましたが、敬語を復習したり、基本的なビジネス日本語の使用場面を確認するにはこの教材がわかりやすくていいなと思っています😀
巻末には「特別な敬語」のリストだけでなく、丁寧な呼び名のリストなどビジネス日本語で押さえておかなければならない丁寧、ビジネスverの語彙(明日→みょうにち、昨日→さくじつ 等)もリスト化されているので、学生に提示しやすくて助かりますよ。
リストを教師側で作るのは割と大変なので、こういうのはほんと助かります!😆
ある程度、「型で覚えて、現場で自然に出るようロールプレイで練習する!」という感じでやって、私を実験台にして、どんどんメールで使ってねと伝えてアウトプットを促します。
そうすると、たいてい学習者さんは私へのレッスン依頼や日時変更依頼のメールを覚えた敬語をがんばって使って書いてくるようになります😀
メール関係で思い出しましたが、敬語の依頼場面では「依頼内容」も敬語レベルを決める重要なポイントになりますよね。
そこがあまり理解できていないと、「場違い」な表現になってしまったり、逆に、丁寧さが失われたりと……我々ネイティブでも、結構難しい……
そして、それは「個人の感覚」でもやはり違うことも、学習者に説明しておく必要があるかと思います。
たとえば、
①傘を貸してください。
②傘を貸してもらえませんか。
③傘を貸していただけませんか。
④傘を貸していただけないでしょうか。
どのパターンを使うのかは、「だれに対して(相手と自分の関係性)」「傘を貸すことは相手にとって負担になるか」が判断材料になるかと思います。
傘の貸し出しをしている受付の人にお願いするときは、①でも②でも失礼にはならないかと。
でも、会社の上司や他の人に依頼するときだけでなく、同僚に傘を借りるときだって④を使う場合もあります。
同僚に④の「〜ていただけないでしょうか」を使うのは、「誰に対して」を意識したわけではなく、「傘を貸すことは相手にとって負担になる」……だから、とても丁寧な表現で依頼したほうがいいと考えたからだと思います。
このようにスピーチレベルについて学生に「あなたなら、(上司、友人、知らない人など)傘を貸してほしいときは、どれをつかう?」みたいに尋ねると盛り上がったりします。
クラスだとペアで意見交換してもらったりしています。
この依頼表現のように似たような言い方(パターン)がある場合の「使い分けの考え方(ニュアンスの違い)」を学生に伝えると学生は喜んでくれるかもしれません。(あくまで私の教えた限りですが……)
現場で教えていると学習者さんは「一つの正解」を求めてくることが多いんですよね😅
でも、実際は「正解は一つではない」「場面や文脈、自分との関係性によって変わる」ことを伝えるように私は心がけています😁
私がおすすめするビジネス日本語教材
私が職場などで見つけて読んで、「使って見たい!」と思ったビジネス日本語教材をいくつか紹介します。
※「日本語教師の歩き方」はAmazonアフィリエイトに参加しておりますが、特定の出版社から宣伝を頼まれたりはしておりません。あくまで私個人の感想をもとにまとめています。
本のタイトルをクリックするとAmazonサイトに飛ぶことができ、本の価格の確認や試し読みができます(一部できないものもあり)。
その①:プライベートレッスンで使いやすそうなテキスト
①『実用ビジネス日本語:中級レベルからの』 TOPランゲージ(著)
こちらは、タイトルにあるとおり、「中級レベル以上」の学習者さん対象のテキストになります。
ビジネスだと語彙も難しいので、N2以上の学習者さん向けかと思います。
私がオンラインでビジネス日本語を教えていると、「現場でよくある会話例がないと伝わらない……」「ビジネス現場では文脈が大事だな」と思うことがあります。
会話例、たとえば、「返答」「断り方」のバリエーションなどが少なくて、自分で例を余白に足したり……😅
いろんなパターン、言い方を知っておきたい、理解しておきたい学習者さんにはこちらのテキストはいいかもしれません。
とくに、8章〜10章の(情報伝達、意見陳述、意見交換)を練習したい、便利フレーズを知りたい人は多いかと。
また、用例が多めなので、独学用のテキストとしても使用できますよ。
しかし、それには難点が……
英語のちょっとした対訳はありますが、中国語やベトナム語、韓国語の対訳はありません😅
また、詳しい文法説明はありませんので、N2レベル程度の文法を学習している前提で進みます。
ビジネス日本語はじめて勉強します〜って方は、ちょっとこちらは難易度が高めですので、お気をつけください。
コラムでビジネスマナーの紹介があったりとおもしろかったです🎵
その②:ビジネスメールの書き方の便利テキスト
②しごとの日本語 (メールの書き方編) 奥村 真希(著)、釜渕 優子(著)
ビジネス日本語を学びたい学習者さんの中には「ビジネスメールの書き方」を教えてほしい!という方もいらしゃいます。
こちらのテキストは、そのような需要にマッチする一冊かと思います😁
「ビジネスメールを教える」ことになったが、何からはじめていいかわからない……😫
「何をポイントにして教えればいいかわからない!」
……という方におすすめです。
カテゴリー別にさまざまな用例があるので、いろんな練習ができると思います。
メールを書かせるテーマを教師が頑張って考えなくてもすむのはありがたいですね!😄
(気になる方は、Amazonからサンプルが少し閲覧可能ですから見てみてください)
その③:ビジネス日本語の教え方が知りたい人向け
③ビジネス日本語 教え方&働き方ガイド (日本語教師ハンドブック) 長崎 清美 (著)、 武田 聡子 (著)、小山 暁子 (著)
こちらは、学習者向け教材ではなく、ビジネス日本語の教え方を紹介している一冊になります。
企業向け研修やビジネス日本語に興味があるけど一歩踏み出せない、踏み出し方がわからないかた向けかと。
また、フリーランス日本語教師としての働き方もこちらに紹介されているので、日本語教師としてのいろんな働き方を知るきっかけになるかと思います😄
「最近はこういう本もあるのか〜!!」と勉強になりましたよ。
養成講座などではあまり教えられない「日本語教育の世界」も知ることができると思います😄
近年、大手企業は外国人人材を昔に比べ採用しているので、社内で日本語教育を受ける機会を提供する企業も増えているそうです。
そういった企業からの業務委託や出張レッスン依頼された場合、2〜3人のグループレッスンになることもしばしば……
そうなると、企業側に「到達目標」「使用テキスト」「評価方法」「レッスン内容」を細かく報告しなければならないので、開始前の「コースデザイン」が重要になってきます。
企業依頼のレッスンだと「1年で顧客と電話ができるレベルまでには到達できるように」「1年でN2を取らせてほしい」など、企業側からの要望(期間や予算)にも応える必要もあり、個人のプライベートレッスンよりちょっと大変かもしれません。
私は学校を通じて依頼を受けていたので、直接企業とやりとりすることはなかったのですが、ときどき企業の方が授業を見学(オンライン)に来たりしていました。
企業の担当者から「会話のレベルがイマイチ上がっていない」「あと3ヶ月でN2は合格できそうか?」などプレッシャーを感じるコメントをいただくことも…………😅
つまり、ちょっと「日本語学校で教えるのとは勝手がちがう部分がある」ので、この本でそう部分を知ることは勉強になると思いました。
また、我々日本語教師は企業の担当者とやりとりが必須になるので、自分自身がビジネスマナーやコミュニケーションスキルを求められます(笑)
また、ビジネスの世界なので、「指導の成果」も求められがちです……レッスン料を支払うのは社員個人ではなく会社側ですから😅
そういったことが、この本の2章「ビジネス日本語教師に求められる力」にもまとめられているので、気になる方はぜひ読んでみてくださいね🎵
まとめ
ビジネス日本語の需要はますます高まってくるかと思います。
私は大学でゼロ初級〜超上級までの学生さんに日本語を教えているのですが、どのレベルの学生さんからも「ビジネス日本語」に関する質問をわりと受けます!!
といっても「日本の会社ってまだ『FAX』使ってるって聞いたけど、本当?!」っていう真相確かめのような質問もありますけど……(笑)😅
ビジネス日本語を教えるつもりはなくても、日本語教師として情報は知っていて損はない分野かと。
また、私のように会社勤めをされていて日本語教師に転職した方は、会社員としての経験が「ビジネス日本語」を教える上でとても役に立つと思いますから、「自分の強み」になると思いますよ😃
ビジネス日本語に関する書籍は紹介した以外にもたくさん出版されていますので、ぜひみなさん書店でいろいろみてみてください!
最後に、いよいよ日本語教師の国家資格「登録日本語教員」の試験や研修などが開始されます。
「登録日本語教員」に関する情報は「note」↓の方で更新していますので、よろしければそちらも参照ください。
この記事が少しでもお役に立ったら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました😊
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