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【日本語教師】が教える日本語の教え方②(語彙〈形容詞〉の導入)

日本語の教え方

前回直接法について教えてもらったんですけど…『日本語』『日本語』教える授業風景があんまりピンとこないんですよね…

さじここ
さじここ

そうですよね〜。では今回も引き続き日本語の教え方〈形容詞〉について解説したいと思います!

語彙〈形容詞〉について

「い形容詞」と「な形容詞」

今回は、前回に引き続き、日本語の語彙の教え方を解説したいと思います。

前回は絵を見せて教えるという話をしましたね。😊

今回のテーマは『形容詞』!

大きい、高い、きれい、しずか、やわらかい、つめたい、あつい等…

形容詞って抽象的で感覚的なものが意外と多いので、

絵では表せるものと表せないものがあります。

でも、気持ちを表すことって大事ですよね?

今自分は「うれしい」のか?「悲しい」のか、「寂しい」のか、

周りにわかってもらいたいし、共感してもらいたい。

だから、形容詞はだいたい初級の初め、動詞導入後ぐらいに教えます。

そう、ひらがながやっと書けるようになったピヨピヨ学生の最初の試練😅

なぜなら日本語の形容詞は2種類ありますから!

みなさんは中学校で形容詞形容動詞を習ったかと思います。

ここで、クイズです!この中で、形容動詞はどれでしょう?

大きい ・ 高い ・ きれい ・ やわらかい ・つめたい・ あつい ・ハンサム

えっと…形容動詞ってなんでしたっけ??つめたい…ハンサム…あれ?

さじここ
さじここ

中学生の国語の時間におそらく勉強したかと思いますが、忘れちゃってますよね。

答えは、「きれい」「しずか」「ハンサム」の3つです。

日本語教育では『形容動詞』という言葉は使っていません。

これら全てを『形容詞』という品詞として教えます。

そして、国語の「形容詞」は『形容詞』、「形容動詞」は『な形容詞

という呼びかたで教えています。😁

「大きい犬」「高い山」「きれいな人」「静かな部屋」「ハンサムな彼氏」

そう、最後が「い」で終わるものは『形容詞』、

な」で終わるものは『な形容詞』というルールですね!

形容詞の活用

え?! 外国人はこの区別をどうやって覚えるんですか?!

さじここ
さじここ

それはもちろん、丸暗記してもらいますが、「ーい」で終わればイ形容詞になるのでそんな難しくありませんよ。

学生には丸暗記で覚えてもらいますが、そんなに難しくはないかと…😅

言葉のラストを見ればどちらか判別できます。

でも「きれい」は例外! 

ラストが「い」で終わっているけど、これは「な形容詞」です!😅

覚えるときに「い形容詞」なのか「な形容詞」なのかをしっかり覚えてもらわないと後が大変なことになります。

というのも、この「い形容詞」と「な形容詞」は活用が違う!

現在・肯定現在・否定過去・肯定過去・否定
い形容詞おいしいですおいしくないですおいしかったですおいしくなかったです
な形容詞元気です元気じゃありません元気でした元気じゃありませんでした

だから、この言葉が「い形容詞」なのか、「な形容詞」なのか判断できないと、文は作れないのです。

語彙〈形容詞〉導入時、私が気をつけていること

なるべく初級前半の学生には絵を使用する

語彙を学生に教える時……特に初級のときは絵を用いて導入します。

(でも、絵で表せるものだけに限ります)

そして、絵は何通りか用意しておきます。

例えば、「大きい」を導入する時は、「大きいケーキと小さいケーキ」「大きい犬と小さい犬」「大きい手と小さい手」…みたいな感じで…

というのも、学生が意味を推測しやすくするためです。

一つだけだと、学生は勘違いする可能性がある。

例えば、この場合だと「大きい」=「高い」と思ってしまったり…😣

あと、文化の違いでうまく伝わらなかったりする場合もあります(笑)

だから、一つの語彙に最低2〜3種類は準備しておきます。(←準備大変!😫)

反対の言葉があるときは一緒に教える

たとえば、『高い』(値段が)高いと、(背が)高い2種類あるので、

反対のことばがある場合は、一緒に導入しちゃいます。

例) (値段)高い↔(値段)安い

    (山)高い↔(山)低い

      きれい↔きたない

      大きい↔小さい    など ……

この方が学生もイメージしやすく覚えやすい!

ああ、英語もこうやって覚えればよかったなぁ〜と今更ながら思っています。😅

多義語の場合は教える意味を限定する

しかし、多義語(ひとつの言葉に複数の意味がある)場合は、教える意味を限定します。

一度にいろんな意味を教えると学生が混乱するので、教えたくなるけどセーブしています。

例えば、「きれい」がそうですね。

英語では「clean」「beautiful」と分けられていますが、日本語は「きれい」になります。

「きれい」は初級の早い段階で導入する語彙なので、一つの意味に絞って教えるべきかもしれませんが、教科書は容赦なく「美しい」という意味でも、「整理整頓されている」「清潔な」意味でも出てきます…😅

なので、私はこの「きれい」は

  • ①部屋が整理整頓されている『きれい』
  • ②人の美貌や絵や風景などの美しさの『きれい』
  • ③字の書き方が美しい『きれい』
  • ④手が汚れていない清潔な状態の『きれい』

この4パターンの絵カードを用意して導入します。

なので、多義語でも場合によっては一緒に教えたほうがいいときもあります。

でも、基本は一度にいろんなことを教えない!ですが😅

え!?なんか大変……

さじここ
さじここ

そうなんですよ…私は新米だった頃、語彙導入を甘く見て痛い目に遭ったことがあります……

一つのパターンの絵だけで見せていた新米教師の私は色々失敗してきました!😫

だから、何パターンも必要です!

学生の国籍が違えば文化も違う!

一つで伝わる学生と伝わらない学生が必ずいます。

これは文型導入とおなじですね。

文型導入も何パターンも準備しているかと思います。

語彙の導入もただ絵を見せて、「はい!終わり!」ではダメで、とて〜も奥が深い……

私は苦手です(笑)

また、他の言語にはない語彙もたくさんあるので、教師の力が試される!(笑)

授業で使える無料イラストサイトが知りたい方はこちらの記事↓も参考にしてください😁

「おもしろい」「楽しい」」「うれしい」の違い

さじここ
さじここ

さあ、ここでクイズです!「おもしろい」「楽しい」「うれしい」違いってなんだと思いますか?

えっと……なんだろう…うれしいは人からプレゼントをもらったときとか…?

「おもしろい」「楽しい」「うれしい」の違いは何だと思いますか?

これは、初級を教える先生は知っておくべき重要なポイントかも

この違いをうまく学生に伝えられないと――

学生は「あした友だちと会います。楽しいです。」みたいに(←本当は「うれしい」と言いたい)

うまく使い分けできなくなってしまいます……😅

このような質問は私は毎学期遭遇します。

説明してもうまく使い分けできない学生もいるので、教えるって難しい〜〜😫

私もはじめは冷や汗をかいて説明していました。😅

みなさんは、どういう時が「おもしろい」で、どういう時が、「楽しい」

どういう時が「うれしい」ですか?

私が日本語を教える上で意識していることは、『意味』『形』『使い方』をしっかり伝えることです。

言語習得は『意味』『形』『使い方』の3つが揃わないと、使えない

特に大事なのは『使い方』!!

いつ、どこで、だれと、どのような会話で使っているのかが大切

英語もスペイン語もそれをもっと意識して勉強すればよかった〜!!😥

なんて……(笑)

これから、語学を勉強する方を、そこを意識されるといいと思います。😁

すみません😅脱線しました…(この話はの詳細はまた今度♪)

話をもどして「おもしろい」「たのしい」「うれしい」の違いですが、以下をご覧ください

① (⭕)この本はおもしろい。(❌)この本は楽しい。(❌)この本はうれしい。

② (⭕)田中さんはおもしろい。(❌)田中さんは楽しい。(❓)田中さんはうれしい。

③ (⭕)テニスはおもしろい。(⭕)テニスは楽しい。(❌)テニスはうれしい。

④ (❌)プレゼントはおもしろい。(❌)プレゼントは楽しい。

  (⭕)プレゼントはうれしい。

※文脈によっては(❌)にならないのは(❓)にしています。

並べてみると、違いが見えてきませんか?

「おもしろい」はその人物についての説明のときに使います。

「楽しい」何かアクションがあるときに使います。(テニスをする、ゲームをする、旅行をする→たのしい気持ちになる)

「うれしい」は(誰かから)何かをもたらされる(=恩恵がある)とき生じる気持ちです。(「プレゼントをもらった!うれしい」とか「プロポーズされた!うれしい」「妹に赤ちゃんが生まれた→うれしい!」など)

文法書によってはいろんな説明があって、私の解釈は少しずれているかもしれません。

でも、だいたいこんな感じで、私は授業を乗り切ってます(笑)😅

学生は「うれしい」はわかるけど、「おもしろい」と「たのしい」の違いが難しいようです。

そして、言語によっては同じらしい・・・😣

中級の学生の作文を見てもこの誤用はちらほらありますよ。

でも、言語は間違えてなんぼです!

まちがえないと覚えませんから👍

一つずつステップを踏むことが大事だなぁと、教えていて思います。

勉強に近道がないのはそういうことなんですね。😓

まとめ

今回は語彙〈形容詞〉の教え方についてお伝えしました。

私が形容詞を教えるときに気をつけているポインをまとめると…

  • 学生が「い形容詞」と「な形容詞」の区別できるかが大切!
  • 初級の学生には絵で見せて導入(但し、絵で表せるものに限る)
  • 導入時の絵は複数準備しておく
  • 「意味」「形」「使い方」を意識して導入
  • 似たような意味の言葉は違いを説明できるように準備!

最後の「意味」「形」「使い方」は形容詞の導入に限らず、授業全てにおいて意識しています。

似たような言葉の違いは、文法書を読んだり、

上記のようにいろんな例文を作って当てはめたりして違いを自分で考えてみたりしています。

私がとても勉強になったのは以下の書籍です↓

あと、よくやっていたのは『ベテランの先生に聞いてみる!』ですかね。(笑)

私はそうやっていろんな先生に教えてもらいましたよ。😆

新人の先生はどんどん周りの先生に教えてもらって、自分のスキルを磨きましょう!

今回もお付き合いいただきありがとうございました。😁

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