外国人の友人に「〜は」と「〜が」の違いを聞かれましたが、日本人の私もよくわかりませんでした。何が違うんですか❓
日本語ネイティブの我々は自然に「は」と「が」の使い分けているんですが、外国人からしたらこの使い分けってとても難しいんです。今回はこれをテーマにお話しますね!
みなさん、こんにちは。日本語教師のさじここです。
初級の学生に日本語を教えるときにつまずくポイントとして「は」と「が」の違いがあります。
みなさんは「は」と「が」の使い方の違いを教えてほしいと言われたら、なんと答えますか?
結構、困る質問だと思います。
「は」と「が」は日本人も自然に使い分けているため、違いを聞かれても言語化しにくいんです……😅
そういう日本語ネイティブが言語化しにくいポイントこそ学生は知りたがる!!
そこで、今回はよく学生の間でも問題になる「〜は」と「〜が」の使い分けについてお伝えします。
日本語教師の方でイマイチ「は」と「が」について上手く教えられない方、日本語教師でないけど「は」と「が」の違いを知りたい方、ぜひ最後までお読みいただければと思います。
文法を教えるときに大事なこと
まず、以下の例文を見てください。二つの文の違いがわかりますか?
【例文】
① あそこにコンビニがあります。
② コンビニはあそこにあります。
どうですか?二つの文の違いはわかりましたか?
これはおそらくどの教科書でも、早い段階で出てくる大切な「あります/います」の文法項目です。
(ちなみに、メジャーな教科書『みんなの日本語』では第10課で扱う文型です)
そして、多くの学生が「は」と「が」を初めて並べてみることになり、
『違いはなんだ―――?!』
と、なって、先生に質問に来る。
そして、できる学生ほど気になる。😅
日本人は「〜があります」はいつ、どんな場面で使いますか?
う〜ん…急に言われてもなぁ…。そんなの考えたことないです…。
みなさんは、いつどんな場面で「〜があります」「〜はあります」を使いますか?
前回の形容詞の語彙導入の投稿でもお話したように、
文法を教えるときは「意味」「形」「使い方」の3つが大事です!
特に「使い方」を意識した授業設計ができると、学生は習った文法が使いたくなるなって文法をマスターしていく。
でも、それが意識できていないと、日常生活で使えず、ただ教科書文法を「知っている」だけ状態に…😥
これは日本人の英語もそうかもしれません……
私は個人的にもっと中学校からこの文型は日常生活でどの場面でどういうことに使えるのかをもっと教えてもらいたかったなぁ…と😥
未だに、「be going to~」と「will」の使い分けが怪しいですもん(汗)
語学学習にはその言語を使う「場面(状況)」や「ニュアンス」が重要になってくるんです。
これに気づいて、意識できるようになると、明日からの授業が変わります!!😆
もちろん、いい方向にですよ♪ 私がそうでした!
私は以前勤めていた日本語学校でこの部分を、かなり、しごかれました(笑)
でも、そのおかげで以前より学生にとって実用的な授業ができるようになったと思います。😁
ぜひ、このブログを読んでいるみなさんも、このポイントを今日から意識して、授業の準備をしてほしいと思います。
「〜は」「〜が」の違いって?
会話例文①
それでは、会話文で感じてみてください。
(今、8月です。田中さんと鈴木さんは営業先から会社に戻る途中です)
田中:のどが渇きましたね。
鈴木:そうですね…帰る前に、何か飲みたいですね。
喫茶店はありますか。
田中:ん〜喫茶店はありませんね。
鈴木:そうですか。じゃあ、コンビニはありますか?
田中:コンビニはありますよ。でも、ここから遠いですよ。
鈴木:(何か飲みたいな…あれ? あそこに見えるのは、もしかして…」
田中さん、コンビニがありますよ!!
ほら、あそこに!
田中:あ、本当ですね! 飲み物を買いましょう!
どうでしょうか?
なんとなくでも気づきがありましたか?
この場合、「は」は「古い情報」、「が」は「新しい情報」として
私たち日本人は選択しています。
文法的に「は」「が」の役割を説明すると、
「は」・・・主題(topic)、対比、古い情報 など…
「が」・・・主語(subject)、強調したいとき、新しい情報 など…
改めて会話文を見ていただくと、なんとなくわかると思います。
上のポイントを参考に会話文を見てみると…こんな感じになります。
(今、8月です。田中さんと鈴木さんは営業先から会社に戻る途中です)
田中:のどが渇きましたね。
鈴木:そうですね…帰る前に、何か飲みたいですね。
喫茶店はありますか。←主題(topic)
田中:ん〜喫茶店はありませんね。←主題(topic)
鈴木:そうですか。じゃあ、コンビニはありますか?←主題(topic)
田中:コンビニはありますよ。でも、ここから遠いですよ。←主題(topic)
鈴木:(何か飲みたいな…あれ? あそこに見えるのは、もしかして…」
田中さん、コンビニがありますよ!!(←新しい情報)
ほら、あそこに!
田中:あ、本当ですね! 飲み物を買いましょう!
会話例文②
では、もう一つ会話文を…
次の「は」「が」はどういう意味で使われているのか、上のポイントを参考に考えてみてください。
(動物園で、お母さんが、子どもに話しかけている)
母:あ!見てみて!ライオンがいるよ!
子:本当だ!ライオンがいる。
ライオンはいるけど、キリンはいないね。
母:そうね。キリンは、別の場所にいるから、行きましょう。
私の分析ではこうなります♪
(動物園で、お母さんが、子どもに話しかけている)
母:あ!見てみて!ライオンがいるよ!(←新しい情報、強調したい)
子:本当だ!ライオンがいる。(←新しい情報)
ライオンはいるけど、キリンはいないね。(←対比の「は」)
母:そうね。キリンは、別の場所にいるから、行きましょう。(←主題(topic))
最後の「は」は、対比の「は」になります。
「〜は…ですが、〜は…です」というように二つ並べて使う用法です。
文脈によって、「は」も「が」も役割が変わってくるので、
簡単に「は」も「が」もどちらでも良いよ♪ とは言えません…😅
日本人は感覚的に使い分けていますが、
外国人は感覚的には使い分けられませんので、
ぼんやりとでも、この概念を頭に入れてもらうのです。
「私は医者です」と「私が医者です」
下の二つの文はいつどんな場面で使いますか??
①私は医者です。
②私が医者です。
どちらも私=医者ですよね?
そうなんですが、使う場面が違いませんか?
①と②はたしかに「私=医者」という意味です。
でも、「は」と「が」を入れ替えただけなのに、なんか印象が違いませんか?
例えば…
①は、初めて会った人に職業を聞かれているシーンとか、
飛行機で急病人が出て「お医者様はいらっしゃいますか〜?」
なんて思い浮かべますが、
②は、「隣の人じゃないよ。私だよ!」と言っているニュアンスなので、
自己紹介を間違えられてしまったシーン、
そして、場合によっては自己主張激しい人みたいな印象を受けてしまう。😅
「は」と「が」のミスなんて初級レベルだと、かわいいミスですが、
中級以上をになると、会話で「ん?」ってなります。
だから、こちらも厳しく指摘します。😥
「は」「が」だけでなく、
その他にも助詞の「へ」と「に」と「で」の使い分けも学生には理論的に教えていきます。
一朝一夕に身につくものではないので、
トライ&エラーの繰り返し。
気づかせて、自己訂正させる……語学学習は根気がいりますね。
悩む学生を見ていると、
たま〜に、
「よかった、日本人で…私が外国人だったら、絶対日本語は選びたくない」
と思ってしまうのと同時に、
「私の英語ってどんなふうに聞こえてるんだろう…😨
英語を話すとき、前置詞とか三単現Sとかをちゃんと正確に言おう…」
と、心で思っています。😅
まとめ
いかがでしたか?
今回は「〜は」「〜が」の使い分けについて解説しました。
もっと詳しく知りたい方は文法書で調べてみてください。
また詳しく別の投稿で書くつもりですが、
日本語教師になったら、文法書は一冊持っておいたほうがいいです。
教科書分析をするときや、似たような文法の違いを把握するときにとても役に立ちます♪
ちなみに私が使っているのはこれです↓
この文法書は初級で勉強する文法がほとんど網羅されていて、
巻末に文法がたとえば…「みんなの日本語」の何課に出てきているのかというリストがあるので、調べやすいです。😁
私はかなりこの文法書に助けられていますよ。
今はインターネットで調べれば、文法を解説してくれているサイトがたくさんあると思います。
でも、私のこのブログを含め、間違っている場合もあるかもしれません。
一つのサイトの情報を鵜呑みにするのではなく、
いくつか調べたり、文法書で調べたりすることが大切だと思います。😁
上手にネットの情報は使っていきましょう!
今回もお付き合いいただきありがとうございました♪
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