
中級レベルを担当することになりましたが、うまく授業ができている実感がありません。なにか参考になるおすすめの教材などがありますか?

中級の教材はレベルによって色々あって悩みますね〜。今回は中級に関する本を二冊紹介しますね!
こんにちは。日本語教師のさじここです。
今回は、紹介できてなかった「中級レベルの教材」の紹介をしたいと思います。
初級は割と指導書やセミナー、勉強会などが充実している印象があるのですが、中級以降になると不思議とあまり情報がない気がします……🤔
リクエストの多さから、中級以上の教え方で困っている人って多いことを知りました!
日本語学校で勤務していた時は、中級になると技能別の授業に変わって「総合テキスト」を使用するというよりも「文法」「読解「聴解」みたいな感じで強化していく……
そんな感じで思っていたんです……
でも、今いろんな場所で日本語を教えるようになり、イメージが変わってきて、単純ではない奥が深いなと……(だから中級のテキストは本当に色々あるんですよね!)
上級を教えられるようになったからこそ、中級で教えておいた方がいいこと、強化したほうがいいことが見えるようになりました。
ですから、今初級しか教えたことがない方もぜひ今から中級のテキストをのぞいてみることをすすめたいです😄
また、日本語教師を長く続けていくには、全てのレベルに対応できるスキルも必要になってくるかと思っています。
- 中級を教えるときに意識したほうがいいことがわかる
- 中級の授業で助けになる教材
- さじここが意識している「中級レベルに必要なこと」
一言で中級といってもレベルの幅があります!
今回は最初に「私が考えている中級レベルの区分」について説明したのち、お勧め本を紹介します。
最後までお付き合いいただけたら幸いです✨
私が中級レベルで意識していること

この間のセミナー(2025年8月23日)でもお話しさせていただいたのですが、私は中級クラスや中級レベルの学習者さんを担当するときは以下のグループごとに意識することを変えて教えるようにしています。
- 初級を終えたばかりの学習者(初中級、N4ぐらい)→初級の復習(助詞、自他動詞、意志・無意志動詞)
- 中級になってしばらく経っている学習者(中級、N3)→日本語を日本語で説明する、使用場面での使い分け
- 上級に近い学習者(中上級、N2に近い)→語彙力、自分の意見や考えを伝える力
私は中級を3つのグループに分け「幅の広い中級」のレベル感を明確化し、学習者に今の「あなたはこの位置にいる」と明示的に伝えています。
中級は学習者自身の成長が感じにくく、どの程度自分ができているのか迷子になりやすいので、こういうのを伝えてあげると学習者は安心するかなと😅
初中級の人はどんどん新しいN3レベルの文法を教えていくと思いますが、初級の文法を覚えていないとなかなかきついですよね?……特に活用とか(笑)
なので新しいことを覚える合間に初級の文法の復習も取り入れて忘れないようにさせています。
N3取得したぐらいの人には、どんどん日本語を日本語で説明してもらえるように、「この言葉はどういう意味ですか?」とか「この文法はどういうときに使うと便利?」とかそういう質問を投げかけて、自分で考えて自分の言葉で説明してもらうように私は心がけています。
中級レベルの文法語彙はなかなか日常生活では使用しないものもありますが、ビジネスシーンやメールなどで使用する書き言葉、硬い表現があります。
そういう場面をみんなで確認しながら授業をしています。
日本で就職したい人は、ビジネス日本語の話を取り入れていくと、結構前のめりに聞いてくれます(笑)
最後の中上級レベルの人はとにかく「語彙」「類義語のニュアンスの違い」を教えるようにしています。
私はよくプライベートレッスンで学習者さんと政治経済、国際情勢について議論します。
そのとき、文法はあってるんだけど、やっぱり話題にあった語彙を適切に使用できていないと「内容に深みが出ないな〜」と感じます。
おそらく相手の言いたいニュアンスもちょっとした語彙選択で変わるので、そういうことを伝えて、「〇〇さんが言いたいニュアンスだとこっちの語彙のほうがうまく伝わる気がする」とか、混乱そうな語彙(国際情勢、国際動向etc)を確認したりとかしています。
ちなみにこれは大学の超上級クラスでもやっています😅
なぜこれを提示したかというと、「中級レベルは幅が広い」ことを伝えたかったからです。
教えることも学習者によって多岐にわたるので、テキスト選びが難しく「この一冊がいいですよ!」とはなかなか言えない……😅
つまり、私がこれから紹介する中級レベルの本も合わない、レベルに合っていない場合があります。
その辺りはご自身の教えていらっしゃる学習者さんのレベルを見極めて選んで使用してほしいと思います😃
今回は、「初中級から使える文法復習テキスト」と「中上級レベルの語彙強化に使用できそうな語彙の本」二冊を紹介したいと思います🎵
おすすめ教材:「どんどん使える! 日本語文型トレーニング 中級」

⭐️「どんどん使える! 日本語文型トレーニング 中級」 坂本 正 (著), 加藤 文 (著)ほか
(本のタイトルをクリックするとAmazonリンクに飛び、サンプルがご覧いただけます)
レベル:中級(JLPT N3~N2程度)
対象:文法を知識として理解しているが、会話で使いこなす練習が必要な学習者
構成:文型ごとに練習問題(穴埋め・会話練習・作文)がセット
特徴:とにかく「使う」練習に特化。反復練習しやすい構成。
この本の特徴👍
1. 「知っている」から「使える」へ
文型を会話で使えるようにテキスト設計されています。
「やってみよう!」の問題では、AさんBさんの会話の穴埋めなので、実際に使用する場面を絵を見ながら想像し、空欄にあう言葉を入れていく形式で練習します。
「文法は知っているけれど、会話になるとすぐに使えない…」という学習者さんが多い気がしますので、そういう学習者さんには文法単体の例文より、こういう形式のものがおすすめかもしれません。
学生には書かせずに、頭の中で考えさせて話させる……それを何パターンも場面設定を変えて練習してみるのもアリだと思いますよ😁
こういう会話調の問題を自作するのは大変ですが、便利です!
2. 自習でもクラス授業でも活用できる
プライベートレッスンや個人の自習には答えを確認しながら自分のペースで反復練習可能ですし、クラス授業では問題をペアで考えて発表したり、ロールプレイのタスクとして使用したりできるかと思います😊
- 文型の導入や意味の詳しい解説は少なめ → 文法解説書と併用がおすすめ
- イラストや写真は少なく、地味に感じる学習者もいる
- 「読む」「聞く」といった技能統合型ではない
こちらには聴解や読解の問題はありません。
この本は文型理解を深める補助教材として使うのがいいかと思います!😄
中級の文法を使った会話場面の参考にもなるので、ぜひ書店やAmazonサイトで見てみてください。
おすすめ教材:「語彙ドン! [vol.1] ―大学で学ぶためのことば」

⭐️「語彙ドン! [vol.1] ―大学で学ぶためのことば」 石澤 徹 (著), 岩下 真澄 (著)ほか
⭐️「語彙ドン! [vol.2] ―大学で学ぶためのことば」 石澤 徹 (著), 岩下 真澄 (著)ほか
語彙に特化した教材で結構個人的におもしろいと思ったのがこの「語彙ドン!」です!
レベル:中上級(JLPT N2~N1程度)
対象:日本の大学に進学予定の留学生、日本語で専門科目を学ぶ学習者向け
目的:アカデミックな学習語彙・表現の習得に特化している
構成:
- 講義やレポートに必要な語彙
- 学術的なテーマ別(例:教育・社会・文化など)に整理
- 練習問題(空所補充、文完成、要約など)を通じて定着
実はこの本は最近、大学の図書館のおすすめコーナーで発見しました!
この本は「日本語学術共通語彙」から選び出された大学の授業で幅広く使用されている語彙を集めた本です。
大学進学を目的に日本語を勉強している学習者さんにお勧めしたい一冊です!😄
余談ですが、大学の学部は基本的に日本語ネイティブと同じ授業を受けて単位取得するので、語彙力がかなり重要です。
日本語で書かれた論文には、日本人でもあまり馴染みのない聞きなれない語彙もたくさん出てきます。
また専攻分野によっては専門用語もあるので、本当に語彙力がないと授業についていくのも大変ですから、語彙力は強化したいですよね😅
この本の特徴👍
1. 大学生活に直結する語彙
「調査」「分析」「結果」「方法」など、授業やレポートで頻出する語彙が中心です。単なる日常語彙ではなく、学術的な場面で役立ちます!
進学を目指すならまず押さえておきたい語彙が満載なので、一冊持っておくと安心かもしれません。
また教師側も掲載されている語彙を優先的に授業で教えていくと大学進学準備対策にもなるかと😄
こういう語彙の本ってなかなか見たことなかったのですごい新鮮です!
2. 文脈での理解を重視
例文や演習を通して、「どの場面でどう使うか」「どういう言葉と一緒に使用するか」等、語彙の使い方も学べるため、語彙が定着しやすい作りになっています。
例文が複数あるし、わかりやすく品詞が書かれているのも嬉しいポイント✨
例文を読んで空欄の語彙をイメージし、まずは自分でどんな語彙が入るのか想像する……
その繰り返しで覚えていく仕組みになっているので、わからない語彙に出会った時の推測力も強化できるかと😙

3. 授業に組み込みやすい
1課ごとの分量が適度で、授業で扱うにも負担が少ない構成です。
宿題や小テスト作りにも活用できそうです。
毎日15分とかやるといいかもしれないですね!「継続は力なり」ですから😄
電車の中とかの移動時間でも覚えられそうな分量になっていますよ。
4. 語彙をただ集めただけでないおもしろい仕組み
語彙って練習は上記の穴埋め練習で終わってしまう本が多い気がしますが、こちらの本はなんと「クロスワードパズル」がついていて、ゲーム感覚で語彙が覚えられます!
この「クロスワードパズル」を授業にやってみるのは面白いかも!?と思いました。
いろんな語彙を知っていないと解けないのでブラッシュアップにもなりますし、ゲームのように競わせたらクラスで盛り上がりそうです😄
覚えた語彙を使った短い読解問題もついているので、この一冊で「覚える→使う」を繰り返し練習できるのはうれしいですね。
独学でもどんどん進められるので、大学進学を目指す学習者の人に「なにか語彙の本でお勧めありませんか?」と聞かれた時に勧めてみてはどうでしょう?😃
- 前提レベルが高め:N2未満の学習者にはやや難しい
- イラストや導入要素が少ない:語彙重視なので、動機づけには工夫が必要
- 技能統合は弱い:話す・聞く活動は少なく、語彙練習に特化している
対象はN2レベル以上なので、こちらの本は「進学準備コースの補助教材」として使うのが効果的かと思います。
こちらの本の内容が気になる方は、ぜひ書店やAmazonサイトで見てみてください😁

まとめ

今回は中級レベルのお勧め本を二冊紹介しました!
日本語を学ぶテキストや本は本当に最近たくさん増えてきているので、私も全然情報が追い付いていません(笑)😂
いろんなニーズに対応すべくテキストや参考書は今後も増えていくと思うので、ぜひみなさま大きな本屋に立ち寄った際は「日本語テキストコーナー」を覗いてみてください😄
私は本屋の雰囲気が好きで、日本語テキストコーナーなら何時間も居られる!って思います✨
この記事以外にも中級レベルのおすすめの参考書など紹介している記事があるので、ぜひそちらもお読みいただけると参考になるかもしれません↓
この情報がみなさまのお役に立ったら幸いです!
最後までお読みいただきありがとうございました😊
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